参拝する前に心身を清める場所、五十鈴川。 緩やかな下り坂になっていて、吸い込まれるように川辺へ降りてゆく。 神宮なのに仏教を持ち出すのは的外れな連想なのだろうが、つい、三途の川ってどんなだろう、と考える。帰ってからから、きゃしぃに話すと、 「三途の川、渡り切ったらだめですよ、向こう岸に着いたらターンして帰って来ないと。」一体、三途の川をクロールで往復した人がいるだろうか。
神鶏というらしい。 たくさんいた。神楽殿でお守りを選んでいるお母さんの手を引っ張り、小さな女の子が「ねえ、鶏がいるよ!」「鶏!」「あそこに、鶏!」 お母さんは生返事。 やっと振り返って見たかと思えば素っ気なく「そうね、鶏ね。」入り口の方からやって来た女子高生の一団は、キャー鶏!と盛り上がっている。 お母さんもあのくらい反応してあげたら嬉しいだろうに。
伊勢への道中あちこちで花盛りだった、百日紅。さるすべり、と平仮名で書くとコミカルな映像が浮かぶが百日紅という漢字は、しっとりとした風情によく似合う。恥ずかしながら、実は旅の間、この花の名前がわからなかった。後日、母に写真を見せると、「百日紅ね。」
そういえば、母は千歳烏山のお蕎麦屋さんでいただいた美味しい夏の魚「たかべ」の話をしたときも当然のように知っていた。