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2013年3月16日土曜日

世界が丸くなった日



2013年2月23日の夕刻、サルヴァドール(バイーア、ブラジル)の浜辺にて。

ブラジルのなかでも特にアフリカ系の存在感が大きいこの町を歩いてみて
南アメリカ大陸/大西洋/アフリカ大陸、と
地球儀をアメリカ大陸から東へ東へとたどるような想像力が
はじめて目を開けたような気がした。

こどものころから見てきた「世界地図」の視覚的記憶
 ―つまり、まず中心に日本があり、
 左右を見わたせば
 西にユーラシア大陸、東に両アメリカ大陸、 
 両者をつなぐ大西洋は、紙面のあちらに半分、こちらに半分という
 地球を大西洋で分断し、平面にぺたっとひろげた世界のビジョン―
に、これまで自分がどれほど強い力でとらわれていたかを意識する。

世界はラランジャのように丸いのだ。



2011年8月25日木曜日

嗅覚の旅

札幌のモエレ沼公園の、ガラスのピラミッドで
管啓次郎さんの詩と佐々木愛さんの絵の展示「Walking 歩行という経験」
が、9月4日まで行われています。

(詩と絵の関係は、
 二羽からなる、小さな渡り鳥の隊列のようで
 互いに同じ方位をめざし、同じ風にのり、
 しかし自らの羽ばたきによってそれぞれが飛んでいる、という感じを受けます)


8月6日、札幌でもひどく暑い土曜日の朝、
モエレ沼の水源をめざして、てくてくと歩くウォーキングイベントがあり、
帽子をかぶって、飲み水を携えて、歩く列に加わって来ました。



途中、上空からぴーひょろろと聞こえてきたので
「あっ、とんび」と、つい誰かに言いたくなって、後ろを振り返ると、

絵美さんという元気な女性が
「とんび、よくいますよ。わたし、北海道出身なんです」
(カラスがとんびの声を真似ることもあるらしい)

大学院で学ぶために4月から東京に暮らしていて、今回は初めての帰郷だ
と話してくれたので、
北海道を離れて東京に住んで、戻ってみて、いま何か思うことはありますか、
とたずねると即座に

「におい、ですね。
札幌はこんなにおいがしていたのか、と、初めて意識しました」

たしかに、前日に行った東川町でも、モエレ沼付近でも、
風に複雑で豊かないいにおいが満ちていることに、うすうす気づいていた。

そこで、「草の、いいにおいがしますよね。」
と言ってみたところ、
「これは、川のにおいですよ。」

たしかに、わたしたちは、小川の脇を歩いていた。
目を丸くして、絵美さんのほうを見ると、

視線を受けて、あらためて風を吸い込んだ彼女が、こんどは
「上のほうは川のにおいがして、
 下のほうは、草のにおいがします。」

風のにおいに層があるなんて、
思ったこともなかった。

知れば、意識すれば、
うまくすれば、いつかそれをかぎわけられるかもしれない。

そういえば、テオティワカンの月のピラミッドのてっぺんで
門内幸恵さんは、いいにおい、と
何度も、嬉しそうに、深く、深く、息を吸い込んでいた。
幸恵さんの感じている世界も、きっと私などよりずっと複雑で豊かなのだろう。



2010年4月6日火曜日

ナゴヤのサノヤ

名古屋では、サノヤさんを目指して歩きに歩いた。

大須観音の近くまで着いたところで、コンビニに入って
「スーパーのサノヤさん」への行き方を尋ねてみた。

「道を渡って、大須観音をつっきっていくと商店街があります、
どう言ったらいいかなあ。コメ兵の近くなんですけどね」。

大須観音をつっきって、商店街に入ると、聞いた通りの大賑わい。
もっと時間があったら、あちこち入ってみられたのに。

さて、コメ兵は店舗がたくさんあって、
エドゥがカメラ店で掘り出しものの三脚を手に入れたはいいが、
サノヤさんは一体どのコメ兵の近くやら、見当たらない。

サノヤさんの現在の店長は三代目、と聞いていたので、
昔ながらのつくりのお店を選んで入り、店番のおばあちゃんに尋ねてみた。

「そこを、ずーっと行ってね。信号をわたってもっと奥にあるよ」。(やっぱり知っていた!)
「ちょっと遠いですか?」
「いや、遠いことないよ。」

どんなお店なんだろう、どこまで行けばあるんだろう、と
きょろきょろしながら進んで行ったら、あった!サノヤさん。


店内は、バレンタイン前のデパートのお菓子売り場さながらの賑わい。

人の流れを見きわめながら進んで行ったら、ありました。
名物のお弁当。ボリュームたっぷり、おかずも数種類入って、250円…
その隣には、大振りの野球グローブかと思うようなチキンカツ大奉仕品100円…

店長を探せたらという思いは人波にかき消され、
店内のBGMのパット・メセニーを聞くのだったということは、店を出てから思い出し。

ともかくも、ナゴヤからムサシノ台地まで7時間かかった鈍行列車の旅の腹は、
サノヤさんのお弁当のおかげで美味しく満足したまま、ぐぅとも鳴らずにすんだ。

2010年2月10日水曜日

夕焼け/青空

昨日、青山ブックセンターで
越川芳明さんと管啓次郎さんの
トークショーを聞いてきた。

タイトルは「旅と翻訳」。

管啓次郎さんが
ニューメキシコで撮った写真のスライドショーに
夕焼け空が、斜めに切れて、青空と分かれているのがあって


あっ
去年の夏、Edu と見た、斜めの夕焼け空と同じだ。

2010年2月9日火曜日

愛とコレステロール

2007年に幸恵さんと行ったスペイン領カナリア諸島について
昨晩テレビで番組をやっていた。

私たちを迎えてくれた友人Adoが案内してくれた
La Laguna の旧市街を懐かしく見た。
(行ったことのある場所が、
 本や新聞や雑誌やテレビや映画で

 出てくると、なぜかとてもうれしくなる)

と、テネリフェ島案内の続きで
椰子の木が立ち並ぶ、長い長い並木道が映った。

ああこれは、コレステロール通りというのだと教わった道だ。
当地では糖尿病のひとが多くて、運動のためにそこを散歩するのだとか。

と、テレビではそのコレステロール通りが「愛の小道」と紹介された。
テネリフェ島のグァンチェ族と、そこに入植したスペイン人の居住区をつなぐ道で
グァンチェ族とスペイン人の間の愛を育む道だったこと。実際、混血はどんどん進んだこと。

あの椰子並木は、
「つなぐ道」でもあり「歩き語らう道」でもあり、「運動として歩く道」ともなり。

2008年6月20日金曜日

自転車の町(SF回想)

Palo Alto でとても気に入ったのは、自転車の居場所が確立されていること。道路が平らで走りやすいだけでなく、


自動車が王様のようなメキシコシティと違って
自動車は自転車に気を配ってくれるし、

(法律で定められているからだという話も聞いたので
 ドライバーの心がけの問題ではなく、 
 訴訟大国であることも影響しているのかもしれない)





歩行者と自転車の住み分けもしっかりしている。

東京を訪れたメキシコ人夫妻が、
自転車がいつどこから来るかわからないのがこわいと言っていたが、
こんな風に住み分けができていれば、加害者になることもない。







電車の駅には駐輪場が整備されていて、
それほど自転車の台数が多くないからかもしれないが
放置自転車をみかけることもなかった。










電車にも自転車を乗せられる車両がある。

日本のある電車路線で、廃線寸前に追い込まれていたところ
自転車持込可にしたら利用者が増え、
経営が持ち直したという話を思い出した。






坂の町サンフランシスコでは、バスの顔面部分にこんなスペースを見つけた。

人類の発明の歴史で一番は
コンピューターか、はたまた歯ブラシか、
という話を聞いたことがあったが、自転車も相当なものだと思う。






2008年6月13日金曜日

カリフォルニアの紫樹、紫陽花


スタンフォード大のキャンパスを案内していただいた日から

「あの紫は、もしや…」と思っていた。
滞在最終日、帰りがけに自転車で近づいてみると、やっぱりハカランダ!

辞書には熱帯アメリカ原産だと書いてあったけれど、
あの涼しさでも大丈夫ならば、日本でも植えれば育つのだろうか。






サンフランシスコの紫陽花。
メキシコでもちょうど紫陽花がきれいに咲いている。日本でもきっと。
気候は様々なのに、面白い。南半球でも、半年違いで一斉に咲くのだろうか。

2008年6月12日木曜日

待っててね
















日曜日のPalo Altoにはマーケットが立ち、家族連れで朝から賑わっていた。
農家の人たちが直接売りにくる野菜や果物や花、
チーズにソーセージ、パン、クレープ、メキシコ料理、それに男性コーラスのハーモニー。



マーケットは自転車とペットの立ち入り禁止。
犬はおとなしい笑顔で飼い主の帰りを待っていた。



2008年6月11日水曜日

Training car

坂の町サンフランシスコの名物、ケーブルカー。

発着点のPowell駅に降りてくると、
線路から方向転換用の回転盤に車体を移し、
人力でぐるりと方向転換して、また人力で線路に押し上げる。

「研修中の車両 」が、なんだか「筋力トレーニング用車両」にも見える。

2008年6月10日火曜日

City Lights Bookstore

一週間のサンフランシスコ滞在はあっと言う間に過ぎてしまい、
いつの間にかメキシコにて書く回想記になってしまった。

Colombus St. にある有名な書店 City Lights Bookstore.

ショーウィンドウのディスプレイも目を引く。
この窓は、ビート・ジェネレーションコーナー。
バロウズと言えば、思い出すのは……






板張りの店内には、あちこちに
こんな手書きの張り紙。
お勧めどおり椅子に座ってすっかり本に没頭している人もちらほら。






壁に貼ってあった「↑poetry room & beat generation」の張り紙に導かれて
階段を上り始めたら、こんなところにも手書きの…











ぎし、ぎし、と上りきってPoetry roomへ.
明るくてとても居心地がいい。
ここにも手書きのhave a seat and read a book.

洗練された空間、手作りの暖かさ、厳選された本、
そのバランスでこの本屋さんの魅力が生まれているのだろうと思う。

一冊本を買った。「袋はいりますか?」
本当はなくても大丈夫だったけれど、
City Lights Bookstore の袋がほしくて入れてもらった。

2008年6月4日水曜日

枝ぶり


Stanford図書館二日目。今日は自転車を貸してもらい、行きも帰りもスイスイ。
自動車が自転車や歩行者を大いに気遣ってくれるのが嬉しい。

構内の木々の枝ぶりがなんだか気になる。端整で立体的、大型の盆栽みたい。
気候や木の種類によるところもあるのだろうが、剪定の好みもあるのだろう。
枝ぶりに見るお国柄、なんていうのも面白そうだ。

木漏れ風からは、楓でもないのにメープルシロップのようないい香りがしてきて、
つい、深呼吸。

2008年6月3日火曜日

本を探しに

本を探しに、サンフランシスコまで。
Univ. StanfordのGreen図書館には
UNAMよりもメキシコ文学の本が揃っている…

美術関係の本の書庫は「倉庫」という感じで
書架を通り過ぎる毎に「カチ」「カチ」とセンサーで蛍光灯が灯り、
気分がザワザワする。どこからか人の気配もする。



モスクワ大学に次いで広大というキャンパスには
自転車が行き交っている。
日本のシティサイクルとは違うけれど、
たくさんの自転車が駐められているのを見てなんだか懐かしくなった。

2008年3月23日日曜日

緑の光を浴びて歩いて行くと

緑の光を浴びながら、土の下り坂を歩いて行く。

タタタと元気に駆け抜けて行く少年たち
ぱっちり眼を開いて見ているこどもを抱えた、逞しいお父さん
細い足でゆっくり進むおばあさん、付き添う家族とすれ違う。

かすかに聞こえていたザーーという音、歓声が
次第に鮮明になってくる。


最後の細道急カーブを左に曲がり、
帽子のひさしを上げると

太陽の光に白く光る滝が現れた。







さらに滝の方に、
滝つぼに続く道へ。

丸みを帯びた大岩の奥の、青!

4年前にはなかったらしい
救命胴衣を借りてザブン。

左の滝つぼからの流れ、
上からの微細な水しぶき、
体を包む青い光を感じ、

くるりと仰向けになると、木々の葉を通ってきた、暖かくひんやりした緑の光を浴びる。

滝つぼの水は、岩の味がした。 (サンルイス・ポトシ州、タマソポ、プエンテ・デ・ディオスにて)

2008年2月6日水曜日

北から南へ

スタバンゲル近郊、海辺の牧場に併設されたカフェにて。
わたしは椅子というものが好きらしいと、数年前に気がついた。
椅子は、とても表情豊かな家具だと思う。
人との関係がとても密だからか?


こちらはメキシコ。コロニアル建築で有名な町グアナフアト近郊にて。
光と緑の生き生きした感じに、ベンチがよく合っている。



そして、もっと南へ行ったオアハカ州の、織物の町にあったベンチ。
さわったり座ったりもしてみた。
私には少しサイズが大きかったのが残念。

さて、明日より南へ。
メキシコシティでの生活を再開します。

2008年2月2日土曜日

雪から守られて

                (2004年7月撮影)

スタバンゲルの住宅街に、かわいらしい郵便受けがあった。
冬になれば、辺り一面、真っ白の雪景色になるのだろう、

この辺りの家々には、とても急な傾斜をつけてある屋根が多かった。

一箇所ぽつんと春のような郵便受けには、どんな手紙が届くのでしょうか。






2008年1月30日水曜日

曇り空と灯り

                     (2004年7月撮影)

うろこ雲と言えば秋のものかと思っていたら、
七月のノルウェーには苺もうろこ雲も同時にあった。
考えてみれば当たり前だが、
"常識" と同じで "季節感" も、世界中で通用する絶対のものなんてない。

ノルウェーに長く暮らしているひとが、
曇り空が多く冬が長いこの国では
、
人を招いたり家族で集まったりして少し洒落た食事をするときに、
家庭でもキャンドルの灯りを楽しむ習慣があると教えてくれた。
町の雑貨屋さんには、見ているだけで楽しくなるような、
色とりどり、
長さも形も様々なキャンドルが並んでいた。
滞在中、まだ薄明るい夜に
キャンドルにゆらりと照らされながら、
たっぷりの塩茹で海老とディルを乗せたパンをご馳走になった。



青空の日に撮った街灯の写真をよく見たら、電球が凝っていることに気づいた。
ただ明るくするためだったら、大きな電球をひとつポンと入れるだろう。
灯りを楽しむ土地ならではのことなのだろう。夜にも是非見てみたくなった。

2008年1月29日火曜日

湖のスキージャンプ

                (2004年7月撮影)

お昼すぎ、Vossの湖沿いを歩いていたら、遠くに巨大な鉄骨のオブジェが見えた。
かすかにこどもの声も聞こえてくる。
近づいてみると、それはスキージャンプの練習台だった。



ウェットスーツを着たこどもたちが7,8人並んでいて、
順番がくるとはしご段をのぼってスキー板を装着し、

すべり台の部分を勢いよくすべって、 ジャンプ、 着水。
湖岸には先輩格のお兄さんが待ち受けていて、浮き輪を投げて引き寄せる。
跳んだ子が岸に上がり終えると、次の子に合図。
なかでもChristianという子が上手らしく、彼の番になると掛け声がかかった。
その期待に応えるように、Christianはトントンとのぼると
悠然と構えて、すべり、ふっと跳び、くるくるとターンをし、きれいに着水した。
いつかスキージャンプの世界大会でChristianを見かけることになるだろうか。

2008年1月28日月曜日

野生の血

                 (2004年7月撮影)

あたたかくて手放せないダウンジャケットは、
歩くのに合わせてふさ、ふさ、と、フードについたファーが揺れる。
ノルウェーの夏猫は、自前のふさふさを備えていた。
これほど見事な毛皮がなければ、北国の冬を乗り切るのは大変なのだろう。
これが七月の姿だから、キツネやオコジョのように
冬には真っ白になるんじゃないか、と想像してしまう。

ふさふさの猫は、どこかおっとりして見えるが
フィヨルドの町Vossでは、ふさふさ猫が二匹、
野生の血を騒がせていた。

2008年1月27日日曜日

苺と娘

                  (2004年7月撮影)

苺はもともと春から初夏にかけての果物だと思っていたら

ノルウェーでは7月が旬だった。
果物屋の屋台がたちならぶ広場の脇の階段に、
誰かがさっそく食べたあとがあった。
すぐに食べたくなるのも無理ない。だってこんなに美味しそう。


苺といえば、あまずっぱくて可愛らしくて、
新品種の名前にしても"若い娘さん"というイメージがつよいのに
なぜ「草かんむりに母」なのかと思って考えていたら、
よくできた象形文字に見えてきた。

先日、南武線で小さな女の子とお母さんの可愛らしい会話を聞いた。
大きな駅で、たくさんの人が乗り込んできたのを見て
「わあ、こんなにいっぱい、電車さんおもくないかな、だいじょうぶかな?」
「たくさんごはんを食べてるから、大丈夫よ」
「そうかあ………。電車さんはなにをたべるの?……いちご?」

あの子は、苺を食べたら嬉しくて元気が出るのかもしれない。

2008年1月23日水曜日

順カンガルー散歩


ベルゲンの港をゆったりゆったり散歩する。
お父さんのがっしりした体にぴったりくくりつけられた赤ちゃんは
安心しきった様子で、とても心地よさそうだった。
ベビーカーからの眺めとは
景色がだいぶ違うことだろう。

                                        (撮影:2004年7月)