2010年6月26日土曜日

「おれたちの勝ちだ」

市の図書館の隣に小学校があり、一年生の下校時刻に行きあたった。
蜘蛛の子を散らすように、という表現を思い出し、
あーあぶない、車に気をつけて、なんてひやひやしながら歩いていた。

と、蛍光きみどり色の「学童安全」ランドセルカバーをつけた
ちっちゃな男の子たちの一団のなかから、だれかが高らかに声をあげた。

―おれたちの勝ちだ!

サッカー?と思ったら、どうやら違う。

なんだなんだ、と興味津々で取り囲むともだち。
その子は、ちょっとばかり誇らしげに、重大な秘密をもらすように、

―オレな、こないだな…


もったいぶる。


―ランドセルのカバーをとって、くしゃくしゃにまるめてやったんだ!

おおおおおお……

2010年6月23日水曜日

門内幸恵さんの展覧会


Yukie Monnai


2005年メキシコ以来の大切な友人、
門内幸恵さんから、ふたつの展覧会のお知らせが届きました。

「常滑Art Safari」のチラシ(イベントのHPでも見られます)の表も、
彼女の作品です。

http://yukie-monnai.blogspot.com/
幸恵さんの絵には、どきりとさせられたり、
見とれる自分の瞳孔が開いていそうだったり、
絵の空間がこちらに滲出してきそうだったりします。

愛知県、岐阜県のかた、お近くにいらっしゃる機会のある方は
ぜひお立ち寄りください。


以下、幸恵さんからの案内です。
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■■■GALLERY CAPTION http://homepage1.nifty.com/caption/ ■■■
■‘Paintings’ 門内幸恵×源馬菜穂
■日時:2010/6/26-7/17
■Opening Party:6/26 18:00-19:30
■住所:岐阜市玉姓町3-12 伊藤倉庫
■電話:058-265-2336
■アクセス:JR岐阜駅から徒歩5分くらいです
(JR名古屋駅⇔JR岐阜駅は快速で15分程度です)




                                                         
■■■gallery rin' http://www.rin2005.com/ ■■■
■‘好きすぎておばけ’(個展) 門内幸恵
■日時:2010/7/10-7/19
■住所:〒479-0836 愛知県常滑市栄町2-65
■電話:0569-34-4158
■アクセス:名鉄常滑線「常滑駅」より徒歩5分くらいです
■TOKONAME ART SAFARI というアートイベントの中での展示です。
焼き物の街、常滑にて9人の作家が様々な場所で作品展示(個展)をします。
他にも音楽やパフォーマンスのイベントなどもあります。

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http://t-artsafari.jugem.jp/

2010年6月18日金曜日

焼きたてパン

先月、友人がブログにホームベーカリーのことを書いていた。

ふと思い出した記憶が別の記憶をひっぱってきて、
思い出したのがランサローテ島にあった、小さな商店のこと。

質素なコンビニのような、簡単な食材(ハムやチーズやら)も置いてある普通のお店。

「記憶すべきこと」は、
棚に陳列してあった袋詰めの大手メーカー印のパンのほかに、
レジカウンターの近くに、細々とではあるけれど、
おいしいパン(かなり細身のバゲット風)を置いていたこと。

ある朝(と言ってもそう長く滞在したわけではない)、
あのパンを買おう!と思って行ったら見当たらず、たずねてみると
「まだ焼けてないのよ。」

まだ届いてないということか、と一瞬思ったけれど、
指さす方を見てみたら 家庭サイズの小さなオーブンがあって、
中には、赤々と電熱に照らされ熱せられる途上のパン生地があった。
道理でおいしいわけだ。

日本のコンビニチェーンなんかでも、
パン生地の状態で各店舗に配って、
それぞれに備え付けた小さなオーブンでじりじり焼いて売ったらどうだろう。
超限定商品になってしまうけれど。

2010年6月16日水曜日

海の近くって

蒸し暑い昼下がり、
お昼休みを終えて職場に戻りがけの上下桜色の制服をきた女性がふたり歩いてきて、
ちょうど青にかわったばかりの横断歩道をわたり、
赤のときから待っていたわたしは一歩出遅れて、

しばらく、わたしはふたりの後を歩くような格好になった。

暑さのせいか、しばし沈黙があってから、ひとりがおもむろに口を開いた。

-海の近くって、こんな風に湿気て暑いよね。

-そうだね。湿気て、暑いよね、海の近く。
 なんかさ、そう言ったら、海に来たわけでもないのに、ちょっと楽しくなってくるね。

2010年6月15日火曜日

Periódico de Poesía

サッカー好きの詩人ペドロ先生が率いる メキシコのオンライン詩誌
Periódico de Poesía (ペリオディコ・デ・ポエシーア)に

管啓次郎先生の 連作詩 "Walking” の三篇のスペイン語版が掲載されました。
http://www.periodicodepoesia.unam.mx/index.php?option=com_content&task=view&id=1371&Itemid=88

訳を手がけさせてくださった詩人、
ぱっと気に入って掲載を決めてくださった詩人、
そして、わたしの拙いスペイン語訳をチェックしてくれたアウロラとヒメーナに、深く感謝。

2010年6月14日月曜日

猫の誉れ

クセジュ文庫のある本に、
「夜はどの猫も鼠色になる」と訳されたフランスの諺が出てきて、
まったく本題とは関係ないその箇所で、えっ、と視線が止まった。

小学館・ロベール仏和大辞典をドサリとめくってchatの項をみれば、
(Dans) la nuit, tous les chats sont gris.
という諺は、
「夜はすべての猫が灰色に見える」ということから、
暗くなると[相手の]判別がつかなくなる;夜目遠目笠の内。

やっぱり、ネズミの色だとはどこにも書いていなかった。
ネズミ色と言われては、猫の誉れはどうなることだろう。

昼であろうと夜であろうと、わたしの色は猫色です。

と考えてから、

ネズミにも毛色はさまざま、
黒と白をまぜたような色だけを「ネズミ色」と称されては困ります、
ネズミであるわたしの色はわたしにとって「ネズミ色」以外のなにものでもないのですから
という、白やら茶色やらのネズミがいるかもしれない。

と書いみてから、おお…お茶も一色に定まっているわけではない…

2010年6月10日木曜日

世界を変えるデザイン展 今月13日まで

五月の週末に訪れた「世界を変えるデザイン展」
(東京ミッドタウン・デザインハブ、入場無料、11-19時)。

古い足踏みミシンを改良した、卓上ライトを自家発電で灯せる机や
霧を集めて飲み水にできる網、
レンズ部分に入れた液体の濃度?圧?を、注射器を使って変え、度数の調節ができるメガネ…

など、物自体のアイディアも面白いけれど、

たとえば足踏みミシンの例では、
装置に必要な古い足踏みミシン・中古車の部品などの流通、装置の組み立て、販売など
仕事をうみだすということも考えられているというのに、なるほど、と思った。

そして、その物が必要となる背景を読むと、はっとさせられることもある。

たとえば、乳児の体温を保つための、湯たんぽ的な機能も備えたおくるみ。
栄養状態が優れない条件下で生まれてきた新生児は、
最低限の体温を維持することができずに
命を落とすことが多い。
そのための十分な機材も手に入らない環境で、この問題に対処するためのもの。


たとえば、燃料効率のよい調理用ストーブ。
民族対立のため、難民キャンプから薪を探しに出たところで襲われる危険が多い。
そのため、集めた薪を、有効に使えるようにするためのもの。


「平和ぼけ」ということばがあったけれど、
異常なまでに便利な都市・時代・環境…で暮らしていると
便利であたりまえ、便利があたりまえという「便利ぼけ」になってしまいそうでもある。


なんていうことを考えなくても、
それはそれは面白い展示でした。
13日まで、ひらかれています。六本木付近へいらっしゃるかたは、ぜひ。

2010年6月8日火曜日

葉やら芽やら実やら

週末に学会で京都に行き、帰ってみたら
葉やら芽やら実やらに、変化が。

レモン。
四つの実が、、、鳥に食われた模様。きれいに、姿を消した。
自然のあるべき姿に戻ったと考えれば、まあいいか。
代わりに、葉はすっかり生い茂り、白にうっすら紫がかった瑞々しい蕾がつき、
そして、小さなクモが住み着いた。

トマトの芽。
芽自体は、頼もしくすくすく育っている。
そのまわりに、赤ちゃんの生え初めし歯みたいに、ぷつぷつ顔を出したのは
トウガラシの芽!なんという発芽率のよさ。
不謹慎ながら、パスタソースの将来を思い浮かべてしまう。