市の図書館の隣に小学校があり、一年生の下校時刻に行きあたった。
蜘蛛の子を散らすように、という表現を思い出し、
あーあぶない、車に気をつけて、なんてひやひやしながら歩いていた。
と、蛍光きみどり色の「学童安全」ランドセルカバーをつけた
ちっちゃな男の子たちの一団のなかから、だれかが高らかに声をあげた。
―おれたちの勝ちだ!
サッカー?と思ったら、どうやら違う。
なんだなんだ、と興味津々で取り囲むともだち。
その子は、ちょっとばかり誇らしげに、重大な秘密をもらすように、
―オレな、こないだな…
もったいぶる。
―ランドセルのカバーをとって、くしゃくしゃにまるめてやったんだ!
おおおおおお……