2010年7月2日金曜日

雨と にこり

雨が降る前に。雨が降らない前に。

なじみのあるのは前者だが、
すこし昔に書かれたものに出てくる、後者のいいかたも、いい。感覚とあっている。
と、最近になって思うようになった。

ちょっと違うけれど、似ているとも思うもの。
「にこりともせずに」 。
わたしが思い浮かべる人物の口元は、「にこり」の辺りですでに穏やかになっていて、
「ともせずに」 のところで、急に無愛想な表情に戻る。
読みながら早とちり的にイメージをつくってしまい、慌ててあとから修正する。

「にこりとして」 という形で出てくることは少ないのに、
どうしても、この表現に出会うたびに、
著者が描こうとしてはいなかった幻の笑顔を、一瞬浮かべさせてしまう。