駅からしばらく歩くと、左手の道の奥に土手が見えた。
上がってみると、
川沿いのひろびろした草はらに
たくさんの人。
人で埋め尽くされているというほどではなく、ちょうどいい。
打ち上げ会場から少し離れた
草の上に座って川風に吹かれ、
おにぎりを頬張りながら
日の入りを待つ。
早く暗くならないかと急かされる今日の太陽は、
いつもより大きい。
空が暗くなり、
風でよく聞き取れないアナウンスが終わると、
とうとう打ち上げが始まった。
歓声と拍手。
ざわめきの後、一瞬静かになり、
ひたすら夜空の花火に見とれる。
華やかな連発花火が一段落すると風下にタマシイのような形の煙が列をなして漂い、
流れてゆくのが見える。
と、よそ見をする間もなく、
また華やかな打ち上げが始まる。
適度にばらけて座る見物客の感嘆は
時折シンクロする。
見事!というときの盛り上がり。
赤いハート型がきれいに広がったときの、
アラアラ…と 何故か照れたようなざわめき。
すべての打ち上げが終わったときに
草はらのあちこちから起きた拍手は、
川風に負けず、
花火師たちの耳にも届いただろうか。