金曜日のこと。
指導教官に会いに行くべく、プリントアウトした報告書とメモをいくつか持ってMetrobusに乗り込んだ。
道すがら最終チェックをしよう、とカバンに手を入れたら、筆記具がない…
きっと傘を入れて中身を入れなおしたときに、ペンケースを出してしまったのだろう。
隣のおばさんに ボールペン持っていませんか、と尋ねたら、
ガサゴソ、と探した末に、「何色でもかまわない?」ときれいなピンクのボールペンを貸してくれた。
途中、床に置いた荷物を持ち上げたので、もう降りるのかと思って声をかけたら、
「まだ先だから、ゆっくり使っていていいわよ!」
ようやく全部見直しを終えて、お礼を言ってペンを返すと、
おばさんは受け取りかけて、一言「もし入り用だったら、持っていっていいわよ!!」
とんでもない、とても助かりました、ありがとうございました、と再びお礼を言う。
彼女は、ちょうど次の駅で降りるところだった。
器の大きなおばさんは声も大きく、
周りの席一体には、微笑ましいような雰囲気が少しの間残っていた。