昨日、青山ブックセンター本店でのトークショーを聞いてきました。
昨年お亡くなりになった名編集者:津田新吾さんの「本の島」構想と
津田さんご本人をめぐるお話、でした。
「本の島」とは、
BEKA制作による特別の冊子を開くと、次のように説明されています。
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津田新吾の考えた「本の島」は、
ひとつだけで孤立して海上に浮かぶ島
ではなく、ゆるやかに連なった群島でした。
ひとつひとつの島は、一冊一冊の本。それぞれ
の本が個性を失わずに、しかしゆるやかに開かれた
かたちで繋がっている、そんな出版活動――
(...) 本の島実行委員会
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津田さんが編集を手がけられた本のリストを見ると、
自分にとって(一方的に)馴染みのふかい名前がずらり。
その一部を挙げると (敬称略)…
管啓次郎、吉増剛造、堀江敏幸、野崎歓、須賀敦子、多和田葉子、
アントニオ・タブッキ、ギジェルモ・カブレラ=インファンテ、
アレホ・カルペンティエル、フアン・ルルフォ、、、
トークショーでのお話を聞き、
冊子に綴じられた、津田さんに縁のある方々が寄せたアンケートを読んで
強烈に感じるのは、
津田さんが、すばらしい書き手を見分ける目の、
見分けたら逃さぬ情熱と行動力の、
書き手とのやり取りを通じてそのひと本来の持ち味を引き出す術の、
持ち主であり、
強い信念・確信を持って、決して妥協せずに、本づくりに取り組んでいらしたこと。
そして、その存在が
書き手、編集に携わる方々、流通に携わる方々、そして読者にいたるまで
(それぞれ形は違うだろうけれど) 無数の反響を起こし続けているということ。
昨日は、舞台上の三人だけでなく、
冊子をつくったBEKAのお一人、
青山ブックセンター本店で「本の島」の棚を企画した寺島さやかさん、
今回の企画の発起人である、元書店員・現在編集者であるかたのお話も聞くことができました。
「本」というものによって、
本(づくり)をめぐることばによって、
必ずしも直接の接触を介すことがなくても、確かに繋がっていく何かのひとつの形が、
昨日のあの場にあったように思います。