毎朝聞いているJ-waveの番組で別所哲也さんが
ガブリエル・ガルシア・マルケス著、旦敬介訳の『生きて、語り伝える』を紹介していた。
焦点をあてていたのは、「語り伝える」という行為自体。
数年前、旦先生の翻訳の授業で、素材のひとつとしてこの作品が取り上げられたとき、
Vivir para contarla という題名の訳は(記憶違いでなければ)最終決定していなかった。
contar は、単純に訳せば、「語る」。
でも、最終的な題名は「語り伝える」。
Vivir para contarla/生きて、語り伝える。
書店で「あ!ついに出たんだ」と見かけたとき
語順も語感も、うまく日本語にうつしかえるのだなあ、
ということくらいしか、恥ずかしながら、思わなかったのだけれど、
今日のラジオを聞いて、改めて、
「語る」という行為の(それ自体の、またガルシア・マルケスにとっての)核心を、
巧みに言い当てた邦訳題名なのだと思った。
語り「伝える」ということで、
語る/書く、終わり。というのではなくて、
語りたい内容があって、語る人がいて、それを伝える相手がいて、
伝え聞いた相手がまたそれを語って伝えて、、、
時間も場所も越えて、物語が伝えられ、渡されていく情景が思い浮かぶ。