会場は屋外にあった。
木・金曜と続けて冷え込んだ曇り空が土曜も残り、
夜となったらもっと寒い。
開演の7時少し前に会場入り。
7時を過ぎて、まだ空のステージを前に
客席は厚手の上着を着込んだ観客で見る間に埋まっていき、ほぼ満員となった。
野村喜和夫さん(詩人)と齋藤徹さん(コントラバス奏者)は二番目に登場。
硯友社のメンバーがラグビーボール大の卵をトライまで運ぶ実況中継風の
「硯友社跡の無限」、
空が鏡のように地上を映し出すというイメージから生まれた
「デジャヴュ街道」、
虹と蛇という漢字の「虫」に着想を得た
「街の衣のいちまい下の蛇は虹だ」
事前に伺っていたお話のまさにその通り、
「楽器としての声」とコントラバスのやりとり、反応、相互作用が
刺激的で面白くて、すっかり耳は釘付け(裏手にいたので目は釘付けにできなかった)。
私にはひとつひとつ意味を持って聞こえていた「ことば」が
ほぼ「音」として聞こえていたであろうメキシコの観客も
一篇終わる毎に わっと沸き、最後には立ち上がって拍手をしている人たちもいた。
詩の朗読と演奏のコラボレーションは、
詩に曲をつけた歌よりは、「ことば」の比重が高い。
詩の朗読だけよりは、イメージを広げるのが易しいだろうけれど。
土曜のステージは、
一人目がフランス語と英語、二組目は日本語、三人目はスペイン語だった。
ことばとは、まったく不思議なものだ。
何かが「伝わる」、何かを「共有する」とは……