2008年9月23日火曜日

「うんざり」さんの詩的な一節 -Juan Emar-

ラテンアメリカ前衛のゼミで、今日はJuan Emar の短編集『十 (Diez) 』(1937) を読んだ。

本名Álvaro Yáñez Bianchi、パリに暮らしたことのあるチリ人の彼のペンネームは
フランス語の "J'en ai marre" (うんざりだ) の地口だと言う。

奇想天外な発想、神秘主義的な側面、パロディー……
作品によっては、正直言って訳がわからない。
有名になったのは、ネルーダの序文つきで1971年に再刊されてからのことらしい。

短編集のなかでも訳がわからなかった作品「ラ・カンテーラの地所 (El fundo de La Cantera)」
に、一番気に入った一節がある。


「暗くなった。しかし、太陽の粉がいくらか残った。
葉には緑の、地面には黄土色の、花には赤の粉。
腰の曲がった老人が、スコップとほうきでそれを集めていった。
集めた粉を
荷車に入れると、残った太陽とともに遠ざかった。
何軒かの酒場を通り過ぎて角を曲がり、そして夜になった。」