ラテンアメリカ前衛のゼミで、今日はJuan Emar の短編集『十 (Diez) 』(1937) を読んだ。
本名Álvaro Yáñez Bianchi、パリに暮らしたことのあるチリ人の彼のペンネームは
フランス語の "J'en ai marre" (うんざりだ) の地口だと言う。
奇想天外な発想、神秘主義的な側面、パロディー……
作品によっては、正直言って訳がわからない。
有名になったのは、ネルーダの序文つきで1971年に再刊されてからのことらしい。
短編集のなかでも訳がわからなかった作品「ラ・カンテーラの地所 (El fundo de La Cantera)」
に、一番気に入った一節がある。
「暗くなった。しかし、太陽の粉がいくらか残った。
葉には緑の、地面には黄土色の、花には赤の粉。
腰の曲がった老人が、スコップとほうきでそれを集めていった。
集めた粉を荷車に入れると、残った太陽とともに遠ざかった。
何軒かの酒場を通り過ぎて角を曲がり、そして夜になった。」