メキシコシティのメトロには、時刻表がない。
車内放送も、構内放送もない。
(路線によっては、次の駅は…というアナウンスあり)
電車がなかなか来なくても、とにかくホームでじっと待ち、
電車が急に止まっても、車内で辛抱強く待つ。
昨日はTacubayaという始発駅で、乗れるかぎりぎりの電車をやり過ごしたら
次のが来るまで15分くらい待つことになった。
ホームは次第に人で埋まっていく。
と、左の方から空っぽの電車が姿を現した。高まる期待感。
電車が止まり、ドアの前には人だかり。さてドアが開く……と思いきや、
なんと、黙ったまま、もと来たほうに戻っていった。
そして、待ちかねた電車が、今度は右から。そういえばここは始発駅だった。
「終点」に着いた乗客たちも早く降りたそうな様子。
ドアの前には人だかり。さてドアが開く…と思いきや、
ちょっと考えた末に、電車は停車位置を大幅に変えた。人だかりは右往左往。
背後で「ふふふ」とおばさんが笑った。
私としては、出てきた電車が静かに戻って行った時点で既にかなりおかしかったが、
可笑しさを共有する人ができたとばかり、おばさんと顔を見合わせて笑った。