初めて入国管理局に行った日は、さんざんだった。
文字通りドアからはみ出るほど超満員のバスを数台やりすごし、
ようやく乗れて「入国管理局に着いたら教えてください」。
まだか、と不安になったころに「ここだよ」と言われ、ガラガラのバスから降りる。
建物の中に入って、尋ねては移動、順番待ち、また移動、順番待ちの末、
30分以上してようやくその建物ではないことがわかった。
外に出てまた人に尋ねてバスに乗り、いい加減くたびれて到着した後には
更にぐったりする手続きの山、永遠に伸びる列が待っていた。
帰りはタクシーに乗ってみた。
いくらかかるか最初に尋ねて、20ペソ。5分くらいであっけなく到着。
病み上がりで行った二回目は、地下鉄を出たところにベースのあるtaxiに直行した。
乗ったときに運転手さんが「20ペソ取るけれど、いいですか?」「はい」
覚悟して二回目の滞在時間は、思いのほか短かった。
指定された日付に受け取りに行った書類は、「まだできてません」。
帰りも、taxiに。運転手さんに話しかけてみると、会話しているうちに18ペソで着いた。
三回目の行き。行列に備えて体力温存、と思い、taxiに。
乗り込んですぐに、「ハカランダがきれいですね」と話しかけた。
運転手さんも花好きなのか、マツモトさんがダリアをメキシコに持ってきたとラジオで聞いた、
どの花がメキシコ原産か、あの秋の花が…話がはずむ。
到着して「いくらですか?」「15ペソだよ。」
三回目の帰り。登録の済んだ滞在許可書を受け取るだけなのに、1時間。
立ちっぱなしの疲れ、そして好奇心もあってtaxiに乗ってみる。
ハカランダから始まり、メキシコ文学を勉強していること、滞在は二回目だということ、
初めて来てから気に入って何度も訪れていることなど話していると、すぐに着く。
メーターは、12.6ペソ。
外国人だからと足元を見られるのは腹が立つけれど、
一日の大半を変わり映えのしない道を走っていることを考えたら、
「座布団」次第で値段をちょっと変える運転手さんの気持ちも、わかる気もする。