この前の日曜日、
グロリアのおばあさん、イネスさんの99歳の誕生祝いに招かれた。
芝生の会場に、初めて顔を合わせるという遠縁の親戚までが大集合。
肉、ソーセージ、ノパル、モレ、チチャロン、アロス・ア・ラ・メヒカーナなどを
トルティージャで包んでうーん美味しいと舌鼓。誰が声をかけるともなく、フィエスタは始まっていた。
舌もおなかも満足したころ、キーボード持参の歌うたいデュオが登場すると「おばあちゃん、あとで踊る?」という声に、静かにうなずくイネスさん。
若い頃はダンソンをよく踊りに行ったらしい。女性は家でおとなしくしているのが当たり前だった時代のこと。
首から携帯電話のポシェットを提げていたイネスさんは、1910年に起きたメキシコ革命後の混乱期を知っている。物も食料も不足していたあの時代、お父さんがつくった石鹸と蝋燭を頼りに、物々交換で食べ物を手に入れていたのだ、と教えてくれた。
大きなケーキが到着すると、イネシータ、イネシータという呼び声が始まった。
両脇を支えられてステージに立ち、「何歳になったの?」とマイクを向けられると「98歳」。
「皆が 健康で、家族を大切にし、幸せに生きられますように」
息子、娘、孫、ひ孫…次々代わるパートナーに支えられ、細い足でワルツを踊るイネスさんは
あの日集まっていた大家族の源、うんと枝を広げた木の、太い幹だった。