発電車両と呼ばれる車両があり
そこには、通勤(通学)しながら筋トレしながら発電しよう
という都会の乗客たちが、乗り込んでゆくのだった。
特殊な吊革が、
見慣れた位置にも、 また、天井からも、いくつもぶら下がっていて、
それを引く力によって発電することができ
全車両の、ほの明るい照明や
冬・夏の最低限の空調の大部分は、そうしてまかなうことができる。
その車両から降りる人は、
そこへ乗り込む人と、ぱちんと手を合わせる習慣が
いつの間にか、うまれていた。
この先は、頼んだぞ。よしきた。任せとけ。
吊革の長さはいくらか調節もできるのだが、
特別に、長くしつらえられたものもあり、
それは、発電車両の常連となった大人たちに憧れる
こどもたちのためのものであった。」