ラテンアメリカ文学に関連した朗報。
Coyote の最新号(10月10日発売)で、
「メキシコが変えた二人の男」と題した特集が組まれている。
“二人”の一人目は、ガブリエル・ガルシア=マルケス氏。
もう一人は、古川日出男氏。
今年5月に、3週間にわたりメキシコに滞在した古川さんの書き下ろし長編に
ノックアウトされた。
自分の感性の角ばり あるいは表現力の拙さのためか、
どうしても陳腐になってしまうけれど、敢えてことばにするならば
五感で感じ取る、生(なま)の刺激 (匂い、味、振動、声、見るもの、、、)と
言葉を介して展開される思考、
じかに会う人との直接のやりとりと、本や作家との胸中での対話、
一人の「透明」なアジア人旅行者としての古川さんと、
作家としての自己意識を鋭くもった古川さん、
現実に起きた・経験したことの記憶と、
それを素材にして作家が書き上げた完成品としてのテクスト、
…などが入り混じるその具合が絶妙で、
(というか、こうして二項対立的に書き出してしまうのはアウトなのかもしれない)
あれこれの記憶が呼び覚まされるのを感じながら
文字に喰らいついてブンブンあちこちに振り回されながら読んでいく感覚が、
たまらなくよかった。