せっかくなら青空の下で、と
持参したおひるごはんを広げるのに、湯島天神の休憩所のベンチに目をつけた。
隣り合わせたベンチにいたおじいさんに、
座る前に「こんにちは」と、一応声をかけた。
するとしばらくして、そのかたに話しかけられた。
「見学ですか?」「いえ、この近くで用事があるので、その前にお昼を食べるのに寄ったんです」
こんなやりとりから始まって、
思いがけず、カナダで長い年月を過ごしたという人生の一端を聞かせてもらった。
電車で隣り合わせるひとも、
道ですれ違うひとも、
誰もかれも、
リアルな人生の物語を持っている。
もちろん、すれ違うひと全員と言葉を交わすことまではできないし
そうしようと思うわけでもないけれど、
時として、こうやって回路がつながると、
自分は関係性のなかで生きる 「ヒト」 なのだ、と意識する。