「正鵠を射る」という表現が出てきた。
明鏡国語辞典で確かめれば、
意味はやはり「的を射る」と同じで「物事の核心をつく」こと。
正鵠というのも、「弓の的の中心にある黒点」のことだという。
この「鵠」とは、何の鳥だろうか。
大辞泉によれば、【鵠】くぐひ、白鳥の古名。
【鵠髪】(コクハツ)と言えば、白髪のことらしい。
弓の的の「黒い点」が、白い鳥で表されているのが面白い。
新漢語林によれば
一。
①くぐい(くぐひ)。白鳥。こうのとり。雁より大きく、羽毛は白く、
非常に高い所を飛ぶ水鳥。
②白い。
二。
①まと。弓のまとの黒ぼし。「正鵠」
②正しい。あきらか。
三。
大きい。
第一の語義と第二の語義は別の項目を立てて書かれているが、
弓の的の中心にある黒点が、白い鳥の名で呼ばれているのは、
「非常に高い所を飛ぶ」鳥であって、当てるのが困難であることからだろうか。
空を見上げると
高く遠い逆光のなかに、小さく黒い点のように見える白鳥の姿も思い浮かぶ。