一週間前の1月9日、土曜夜の新宿 Naked Loft で
「世界中のアフリカへ行こう2010」 というイベントがあった。
大久保の韓国人街を迷い迷い歩きながらようやく着いたらアフリカ会場は超満員。
ようやくのことで、立つ場所が確保できた。
第一部は、旦敬介さん、管啓次郎さん、中村和恵さんによる朗読
第二部は、ロジェ・ムンシ・ヴァンジラさんとゾマホンさんによるトーク
第三部は、ママドゥさんとボカさんによる演奏
三本立てのその全体が、全体として、とてもよかった。
作品として書かれたテクストは、研ぎ澄まされ、凝縮されていて、
知らない世界を知るために最初にひらく扉のよう。
トークは、生の現実を知る人が、生の情熱で、生の声で、伝えるもの。
見ない振りができない、聞こえない振りができない、だってそこで本人がしゃべっているのだし、
それを聞くために、わたしたちはそこにいるのだから。
衝撃的な事実の数々。それを知らずにいることの、無責任さに直面する。
音楽は、こう言ってしまっては陳腐だが、意味を超えたところで、つながることを可能にする。
そして、持って当たり前だがおかしなことにふと忘れてしまうような、
自分とは違う見方、考え方、感じ方を持っているひとに対する敬意を持つことを。
ママドゥさんは、「コラ」という弦楽器と、打楽器(名前を忘れてしまった)に
羊の皮、山羊の皮が使われていることを説明したとき、こう付け加えた。
羊や山羊が、ぼくたちと一緒に演奏しているんです。
日本で一番困るのは、時間に対する感覚の違いだとおっしゃっていた。
「7時02分の電車に乗らなければ」とか「18時54分に番組が始まる」とか
時間がない、時間がないと口を揃えて皆が言うけれど、ぼくはこう思うんです、
明日もあるじゃないか、あさっても、あるじゃないかってね。
西洋の音階にコラを調弦し直して演奏した曲には
「おじいさんの古時計」と、「あしたがあるさ」のメロディーが織り込まれていた。
音階はFメジャー。小さいころからずっと、最も暖かいとわたしが感じてきた音階だった。
関連書籍がある。
中村和恵編 『世界中のアフリカへ行こう <旅する文化>のガイドブック』
(岩波書店、2009年) 読み応えがある。