先週の木曜日、メキシコ大使館へ
谷川俊太郎さんの詩集『世間知ラズ』スペイン語訳の
プレゼンテーションを聞きに行った。
この本は、谷川さんの詩のなかで
初めて日本語からスペイン語に直接翻訳されたものだそうだ。
訳したのは、メキシコ人で日本への留学経験もあるCristina Rascón Castroさん。
紹介された本は、Plan C editoresというところからSin conocer el mundoという題名で
2007年に出版された、バイリンガル版だ。
Foncaという、メキシコ政府の文化・芸術振興基金の助成を得ている。
メキシコはこういう文化制度が充実していると思う。
会での印象的ないくつかのコメントをメモ代わりに。
数日が経過しているので、記憶が変化していないことを祈りつつ。
・案内役のアウレリオ・アシアインさん
「谷川さんの詩がアンソロジーの形で訳されたのではなく、
一冊の詩集として訳されたというのは、すばらしいこと。
詩人にとって、詩集とはひとつの生き物のようなものだから。」
・翻訳者のクリスティーナさん
「一番注意したのは、(スペイン語圏の読者全体を相手にするために)
メキシコ特有の語彙や表現を使わないこと。」
「日本に特有のものが出てきても、
説明的にならないように訳すように心がけた。もっと知りたいと思う人は
詩を読んだことをきっかけにし、そこを入り口として、自分で調べてもらえたらいい」
・谷川俊太郎さん
「詩の翻訳は不可能、というところを出発点としている。
誤訳があろうと、超訳があろうと、まったくかまわない。
スペイン語訳は、独立したひとつの作品と捉えている」
(もしも、世界に詩がなかったら?と問われて)
「別の星に移住していたでしょう、
詩のある星に。」