2008年2月28日木曜日

ホセ・マルティ図書館

近くにある別の図書館にも行ってみた。
José Martí はキューバ独立に命をかけた詩人。
情熱的な、修辞を駆使した散文を相手に苦戦した教室が頭をよぎる。

二階に上がり、たくさんある机
のどこに座ろうか選んでいると
右目の端にCarpentierの名が飛び込んできた。その向かいの棚にはJoyce.
CarpentierからD, E, F... とイスパノアメリカの作家の名を追っていく。

大学の図書館よりも胸躍る感じがするのは、適度に数が少なくて全体が見渡しやすいからか。

視線は右へ
右へ、下の棚へ、全部終わったら裏側に回って次の棚の左端から…
小説のセクションがいつの間にか終わり、詩のセクションが続き、それが終わると
José Saramago、Turgenev、Virgilio(ヴェルギリウス)…。
スペイン語世界を飛び出たかと思ったら、いつの間にかギリシャ・ローマの時代に戻っていた。

2008年2月27日水曜日

陽だまりの黒猫

いつもは調べないような言葉を辞書で引いてみたら面白い。

【広辞苑:日】
①太陽。日輪。おひさま。万葉集(3)「渡る-の影もかくらひ」。「-が出る」
②(「陽」とも書く)太陽の光または熱。万葉集(10)「照る-にもわが袖
乾(ひ)めや」。「-にあたる」「-がさす」
(以下計13の語義が続く)

【Diccionario de la Lengua Española, Real Academia Española:Sol】
1.我々の惑星郡の中心である、光り輝く星。「至(夏至・冬至)とは、Solが回帰線に位置する時である。」
2.この天体の光、熱、影響。「Solのもとに座る。Solを浴びる。Solが部屋に入る。Solと雪で焼ける」

【広辞苑:くろ】
①色の名。墨のような色。
②囲碁で、黒石の略。また、黒石を持つ方。⇔白。
③犯罪容疑者が犯罪の事実ありと判定されること。また、その人。有罪。「判決は-と出た」⇔白

【Diccionario de la Lengua Española, Real Academia Española:negro, -ra】
1.物体の表面がいずれの可視輻射光線をも反射しない状態のことをいう。
2.すべての色の不在をいう。
3.人物について、肌の黒い人。
4.この肌の色によって特徴付けられる民族集団に特有だと思われるもの。「negra音楽、negro芸術。」
(以下、計20の語義が続く)

言葉の定義も、文化や歴史を反映している。ちなみに広辞苑の「白」の項の説明は、RAEに近い、が
「太陽の光線をあらゆる波長にわたって一様に反射することによって見える色。雪のような色。」
…雪!





2008年2月26日火曜日

革命図書館

近所にある革命図書館の屋根つきパティオで
本を読むことにしている。
静かで暖かく、トイレに紙があり(大学にはない)、天井が高いのがいい。

昼ごろに出ようとしたら、いつもと違う若いガードマンがいて、
防弾制服姿にピンク色のゼリーのカップ(食べかけ)を片手に、
「スペイン語はあんまり?」と陽だまりの猫みたいな笑顔で話しかけられた。

「頑張れば何でもなんとかなるよ、僕はこんな職にしかつけなかったけどね。
ぐうたら癖があるからだめなんだ。頑張るんだよ。」
明日からはまたいつものガードマンが戻ってくるらしい。握手をして別れた。

2008年2月25日月曜日

額縁絵画の裏側

Museo Carillo Gilで、額縁絵画の裏側を見た。

収集家カリージョ・ヒルのコレクションをもとにしてできた美術館。
企画展なのか、これまでの展覧会についての展示が豊富だった。
企画書、準備中の風景の写真、客の反応、それを受けた芸術家の感想。

常設展らしいディエゴ・リベラやシケイロスの絵も
数枚は裏側を見ることができる展示になっている。
裏を見て、何が面白いか。

その絵が所属先から出かけていき、他の美術館で展示されると
出先の美術館の名前や、その展覧会のタイトルが書かれたシールがぺたり。

パスポートのスタンプ、スーツケースに貼られたあちこちの国のシールのように
絵が訪れた旅先の記録が、絵の裏側に残されている。
絵の表側には、それぞれの旅先で浴びた視線の、見えない痕跡が残っているだろうか。

Mexicoの物価

メキシコシティで物価が上がったと言われて来たけれど、
二年前と比べ高くなったと思うものと、あまり変わらない感じがするものとある。

最近の実例を挙げると(2008年2月25日、1ペソ=9.95円!)

・交通費
メトロ:一律2ペソ
マイクロバス:初乗り2.5ペソ(距離によって三段階に上がる)
Metrobus(専用レーンつきバス):一律3.5ペソ

・食費 
なじみの昼定食屋二軒の場合:35→40ペソ、38→45ペソ
近所のパン屋、手のひら大のシンプルなパン:0.9→1.5ペソ
豚あばら肉4枚:16ペソ
牛薄切り肉200g:17ペソ

・娯楽、趣味
映画祭のチケット:38ペソ
ブルースのライブチャージ:60ペソ
劇のチケット:100ペソ、学生50ペソ

それにしても、マンゴーが23ペソ/kg 、果物の手ごろさが嬉しい。

2008年2月24日日曜日

同居犬の素顔

長居するつもりのときと、ただふらっとやって来るときと、
一目で見分けがつく。

こんな風に昼寝するつもりのときには、
気に入りの黒いぬいぐるみを連れてやってくる。

2008年2月21日木曜日

おいしい店見つけた

サンハシント公園脇のテラスにあるレストランでお昼を。
階段をのぼったら、「ピンポーン」。一年前はなかった。
二階に着くと、テーブルも椅子も雨よけも一新されている




パイナップルの飲み物と、ズッキーニのポタージュ。
ポタージュが濃厚で美味しく、いい予感。
    


二皿目のサラダも美味しく、メインの串焼きも、味のバラエティが嬉しい。
ただし、緑のはピーマンでなく唐辛子。
最後の一口が極辛で、目は開き手が震えるほどだった。

ともあれ大満足のお昼ご飯、これで40ペソ(二月初で1ペソ≒10.8円)。
メキシコの昼食は遅い。2時半を過ぎて、どんどんお客さんがやってきた。

2008年2月20日水曜日

緑・赤・白

満月まであと二日あるけれど、ほとんど満ちて見える。

家からRevolución通りの間にあるサン・ハシント公園が
何故かカラフルな照明に彩られている。

いつまでこんな灯りがあるのか気になって、暗くなるとつい見てしまう。

2008年2月18日月曜日

通りのレオノーラ、部屋の中のレメディオス


今、チャプルテペック付近で二人の女性”シュルレアリスト”の作品を見ることができる。

レフォルマ通りには、
レオノーラ・カリントンの作品(レプリカ)や写真が展示されている。
日曜午後の太陽の下、マウンテンバイクでぶらぶら見ている人も。
マックス・エルンストと二人でうつっている写真が素敵だった。







近代美術館Museo del Arte Modernoの二階左側では、
レメディオス・バロの回顧展が開かれている。
初めての個展を開いたのが47歳のときだったということに、改めて驚いた。

2000年ごろに渋谷で開かれたバロ展よりも、ずっと規模は小さいが
スタイルを確立する前の作品や、薬局?の依頼で描いた絵も見られる。
入り口から見ていったら、晩年から若いころへと、逆に辿っていた。





2008年2月17日日曜日

ラムセス、モーゼ、ユリシーズ

詩を読む授業に、ラムセスという名のクラスメイトがいる。
真っ黒サラサラの髪をななめに分けた彼は、
黒い瞳をかがやかせ、朗々とひびき渡る声で解釈を披露する。

私の頭のなかは、20世紀メキシコの詩の世界を離れ、古代エジプトへ…

他のスペイン語圏もそうなのかもしれないけれど(あるいは広く西欧文化圏?)
ここメキシコでは、他にもMoisés(モーゼ), Ulises(ユリシーズ)など
石造りの建物のように、時空を飛び越えた名前にたびたび出会う。



2008年2月15日金曜日

同居犬


私が一部屋を借りて住んでいる家には、
ふかふかの同居人がいる。

「散歩する?外に行く?」とふり返りふり返り、
木の板の螺旋階段を降りていく。

2008年2月13日水曜日

物言わぬ証人


町のあちこちで工事が進んでいる。町が変わってゆく。
根を張ってどっしりと立つ木々よりも、もっと変化しないものを見つけた。

物言わぬ彼女の眼にうつってきたもの、彼女の耳が聞いてきたものを
見ることが、聞くことができたらどんなに面白いだろう。


2008年2月12日火曜日

月曜、朝九時に

手続きのため、月曜の朝九時に来るようにと言われた。
心配していたバスのストも中止(あるいは延期)になり、
メトロも予想以上に空いていて、早すぎるくらいに駅につく。

「フアレス大通り沿い、フアレス像の正面にあって
オレンジ色の高い建物で、キューブが飛び出ている」
……これが外務省の建物か。
と見上げていると、ストトン ストン   スネアドラムの音が聞こえてきた。
脇の入り口から入ってみると、
軍だか警察だかの、制服姿の楽隊が待機している。
受付を終えたころ、金管楽器がバリバリ響く音で国歌を演奏し始めた。
毎朝九時の日課なのだろうか?

説明を受けてはサインをし、サインをし、サインをし
別の階に行き、手続きをし、元の階に戻り、
別の階に行き…

最後の手続きを終えて21階から降りるエレベーターで、
乗り合わせていた女性は皆降りて、私以外みな男性になった。
左奥の立ち位置から観察すると、
さすが外務省というのか、皆背広も靴もピカピカで髪もバッチリ決めている。
1階に着き、スッとドアが開いた。
が、誰も降りない。
ドア口にいた人は手ぶりで、ほかの人は視線で、
「お先にどうぞ」
七人の立派な身なりの男性たちの見守るなか、
ああメキシコだ、と思いながら、
gracias, と言って、頼りなげに見えないようにしっかり歩いて降りた。

2008年2月10日日曜日

メキシコご近所散歩


よく晴れた土曜のお昼前、家の近所に散歩に出た。
教会の庭にて。

お寺の境内のように木々が生い茂っていて心地いい。
建物のなかには、結婚式のミサか、晴れ着姿の人たちが集まり始めていた。



買い手募集中の家。
売り出し方がにぎやかで楽しい。


やっぱりこの町は、光が透明で強い。
またすぐに日焼けするに違いない。



どうしてこんな刈り方にしたのやら。
手が届くだけに気合が入ったのだろうか。
そういえば、クッキーとチョコレートの、こんなお菓子があった。


ハカランダ!
三月ごろから咲くものらしいが、すでに咲いている木がちらほら。
左肩にブーゲンビリアが入って、一年前と同じ木を撮っていることに気づいた。
人に会うと、皆かすかな変化がある。私もいくらか変わっているのだろう。
道路や公園、建物の工事は、どんどん進んでいる。
物価上昇も、これからどうなることやら。
木々は変わらずどっしりと立っていて、頼もしい。





2008年2月6日水曜日

北から南へ

スタバンゲル近郊、海辺の牧場に併設されたカフェにて。
わたしは椅子というものが好きらしいと、数年前に気がついた。
椅子は、とても表情豊かな家具だと思う。
人との関係がとても密だからか?


こちらはメキシコ。コロニアル建築で有名な町グアナフアト近郊にて。
光と緑の生き生きした感じに、ベンチがよく合っている。



そして、もっと南へ行ったオアハカ州の、織物の町にあったベンチ。
さわったり座ったりもしてみた。
私には少しサイズが大きかったのが残念。

さて、明日より南へ。
メキシコシティでの生活を再開します。

2008年2月2日土曜日

雪から守られて

                (2004年7月撮影)

スタバンゲルの住宅街に、かわいらしい郵便受けがあった。
冬になれば、辺り一面、真っ白の雪景色になるのだろう、

この辺りの家々には、とても急な傾斜をつけてある屋根が多かった。

一箇所ぽつんと春のような郵便受けには、どんな手紙が届くのでしょうか。