2008年3月31日月曜日

Audirama

木々に囲まれた、小さな空間。
カラフルなベンチに身を任せると、
空を仰ぎ、目を閉じ、木漏れ日を浴びる。


四隅に置かれたスピーカーからは、心地よい音楽が聞こえてくる。
初めて行った二週間前は、50年代、60年代のjazz、
昨日の日曜は、ギターと歌のミニコンサート。


木々も音楽を聴いているのか、
空に向かう幹、そこから伸びた枝葉は、音楽空間をまるく包んでいる。

2008年3月27日木曜日

横断注意

たとえ横断歩道であっても、気をつけなさい。

自分の身は自分で守るべし。


さもなくば…

2008年3月26日水曜日

紫の樹

紫という字はハカランダに似ている。

いま、メキシコシティは紫の花盛り。
歩いていても、バスに乗っていても、
そこに紫!あそこに紫!あちらにも紫!

花ごと散るので、樹の根元、木陰のできる部分は
紫の丸いテーブルクロスを敷いたようになっている。



このハカランダ、
マツモトという日本人がメキシコに持ってきたのだと聞いた。

複数店舗を持つ高級花屋の名として今でもここに生きている、
マツモトさん。


どんな経路を辿って、どんな経緯で、
ハカランダの種を携えてこの町に来たのだろう?

2008年3月23日日曜日

緑の光を浴びて歩いて行くと

緑の光を浴びながら、土の下り坂を歩いて行く。

タタタと元気に駆け抜けて行く少年たち
ぱっちり眼を開いて見ているこどもを抱えた、逞しいお父さん
細い足でゆっくり進むおばあさん、付き添う家族とすれ違う。

かすかに聞こえていたザーーという音、歓声が
次第に鮮明になってくる。


最後の細道急カーブを左に曲がり、
帽子のひさしを上げると

太陽の光に白く光る滝が現れた。







さらに滝の方に、
滝つぼに続く道へ。

丸みを帯びた大岩の奥の、青!

4年前にはなかったらしい
救命胴衣を借りてザブン。

左の滝つぼからの流れ、
上からの微細な水しぶき、
体を包む青い光を感じ、

くるりと仰向けになると、木々の葉を通ってきた、暖かくひんやりした緑の光を浴びる。

滝つぼの水は、岩の味がした。 (サンルイス・ポトシ州、タマソポ、プエンテ・デ・ディオスにて)

2008年3月17日月曜日

メキシコシティでチェコのジャズ

無料の屋外jazz liveの開場を待つ行列は、建物に沿って角を曲がり、
階段を降り、もうひとつ階段を降り、また角を曲がり、ようやく最後尾に着いた。

頭上に容赦なく太陽が照りつけるなか、ジェームズ・ボンドのテーマが流れ始めた。
チェコ共和国のジャズバンド、その名も Band... James Band.
サックス、トランペット、ベースにドラム、ピアノ、黒い帽子に黒眼鏡の五人組。

ブギウギの頃から、プログラムを日よけにしている客席に手拍子が生まれ、
8ビートのイントロの「枯葉」で流れをつかみ、
フリューゲルホルンの柔らかな「ミスティ」を気持ちよく聞いていたら…

サックス奏者が客席から若い女性をエスコートして、ゆったりゆったり踊り始めた!湧き起こる歓声。

その女性が席に戻ると、今度は黒いスカートの中年女性が立ち上がり、サックス奏者の手をとった。
ワンコーラスが終わるか終わらないかのうちに、別のおばさんがすっくと立ち上がり、盛り上がる客席。
また次のコーラスには、今度はワタシとばかりに別のおばさんが。フィニッシュにクルクルとターン。

楽しみ上手な客席にもすっかり楽しませてもらった。

2008年3月16日日曜日

大学都市の夜

映画製作の勉強をしているエセキエルが
レイ・ブラッドベリの劇The October Conturyを見に行こうと誘ってくれた。
UNAM(メキシコ国立自治大学)の建築学部の講堂で、夜の観劇。

カーテンコールの笑顔を見ても、まだ劇中の絶望が頭に残る。
講堂を出たら、その外にも、非日常の世界が広がっていた。

広大な大学都市のキャンパスは
セマナ・サンタの前の金曜夜とあって人影が少なく、明るい図書館も無人。
かと思えば、駐車場ではカーステレオにビールで踊る学生たちの姿も。




中央図書館の壁画も、
咲き誇るJacarandaの花も、
なんだか現実味のない、
不思議な存在感で明るく照らされていた。

2008年3月13日木曜日

おっと…

人のちょっとした仕草を見て、おっと気をつけなくては、と思うことがある。

家の一部屋を貸してくれているセシリアと台所で一緒になったときのこと。
冷蔵庫から卵を出したら、割る前に丸ごとの殻を洗っていた。
それまで、卵を洗うなんて考えてもみなかった。

大手チェーンのSanbornsでグロリアとお昼を食べたとき。
彼女は、用意されたフォークとナイフを使う前に、紙ナプキンで拭った。
それを目にしたときには、一口食べ始めていた私…

よく見る光景。
缶の飲み物は、コップやストローがついていても、
プシュっと開ける前に、注ぎ口付近を紙ナプキンできれいに。

神経質になりすぎてもやっていけないし、こちらの人でも個人差はあるけれど
無事に生き延びるためのポイントの一つは、
そうか…と思ったことを、真似して取り入れることだとも思う。

2008年3月10日月曜日

1578番地

長い大通りの番地は、桁が違う。

レボルシオンを歩いてみた時の写真。
バスからでは気づかなかったデザインの遊び心が楽しい。



(2008年2月24日撮影)

2008年3月8日土曜日

部屋だけの一週間

メキシコ暮らしを再開して一ヶ月。
ようやく「日常」ができてきたと思ったら、ひどい風邪をひいた。

遠くに山並みが見える、快晴続きの一週間だったのに
外に出たのは
月曜に病院へ行ったときのみ。





行きのタクシーでは、熱で朦朧としながら、周りの景色や通りの名前を見る。
安全なタクシーとは言え、自分がどの辺りにいるのかは把握しておきたい。

そろそろ近くなってきた、と思った頃、運転手さんがラジオのボリュームを上げた。
大型スーパーやレストランを持つComercial Mexicanaの話だけど?

「うちのタクシーもね、70周年なんだよ。」
信号で止まると、前から手が伸びてきて、まずはタクシー会社の名刺が、
助手席の山積みの中から、A5版くらいの白黒写真の束が差し出された。

「1937年、創業当時の写真だよ。」
立派なビートルがずらり、
その前に並ぶ運転手たちは、誇らしげな笑顔をしていた。


あの日から、
明るくなり、まぶしくなり、光が穏やかになり、暗くなり、その繰り返し。
今日になって、
この窓からの景色をじっくり眺めたことがなかったことに気づき、
夕方はカーテンも窓も開け放って空をぼんやり見てみた。





2008年3月2日日曜日

メトロの笑顔

メトロは、メキシコシティであまり好きになれない場所。
乗り降りの時にみな我を忘れるし、運転が乱暴だし、駅や車両の手入れもよくない。

朝のメトロで、若い母親の膝に抱かれた1歳半くらいの女の子がぐずりだした。
あやしても効果はなく、困るお母さん。ふっと、斜め前から真っ赤なキャンディーが差し出された。

見知らぬおばさんから渡された棒つきのキャンディーを手に、女の子はキョトン。
しばらくの間、眉間にしわを寄せたまま、自分の手元とおばさんとお母さんを見比べていた。

降りる駅を人波越しに確かめてから、どうなったかなと見ると、女の子はニコニコしていた。
手元のキャンディーは包装が取られ、ハートの形が見えている。
おばさんは降りるとき "元気でね" と声をかけていき、女の子はその背中に小さな手を振っていた。

ノマドはメヒコに

昨年春~初夏にお台場に来ていた
「ノマド美術館」グレゴリーコルベール作品展が

今、メキシコシティのソカロ(憲法広場)で開催されている。

入場無料とあって、連日長蛇の列。2、3時間待ちは当たり前らしい。
金曜午前に通りかかったら、この賑わい。土日は想像もつかない。
夜警も必要に違いない。これも治安改善に役立っているのだろうか?

商品の見せ方

サンダルは履き心地も重要だが、
履いたときに外からどんな風に見えるのかも知りたい。

最小限のスペースで、その要望を叶えてみせた店主に拍手。
少々気味が悪いのも、また魅力的。

糸井効果














朝、「ほぼ日刊イトイ新聞」を見たのが運のつきだった。
2月29日は降ってわいたおまけの日。役に立たないことでも、なんでもしよう。

"言っちゃいけないことも言ってしまおう" は実践しなかったけれど、
役所にサインしに出たついでに、Gloriaと会う3時まで、歩き回った。

国立美術館の常設展を、以前見たときを思い出しながら
宗教画のあたりは飛ばし、19世紀半ばごろからじっくり見た。
美術史や絵画批評で名前になじみができたせいか、前よりずっと面白い。

建物にも目を奪われる。大半の部屋の屋根を白く塗りつぶしているのが勿体無い。
国立美術館の中庭(アトリウム)では、向かいのParacio de Mineríaで開かれている
ブックフェアにあわせ、
美術書を中心とした古書市。

大規模なほうのブックフェアには、
Gloriaと二人で結局8時すぎまでいた。
こちらは更にすごい賑わいようで、通り抜けるのも一苦労。
探していた展覧会カタログ "Tamayo reinterpretado"を見つけ、大満足だった。