2009年3月8日日曜日

しずかな会話(メキシコ書きそびれ記:4)

年末のこと。
メキシコ市の Museo del Papalote パパロテ-こども博物館で開催していた

企画展 Diálgo en silencio -comunicación no verbal
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(しずかな会話-非言語コミュニケーション)に行った。


入場する前に、スタッフから説明があった。


これから先、音もことばも、一切なくなります。

耳の代わりをするのは、あなたの目。

ガイドの指示を よく気をつけて見ていてください。


「元気?」「元気です」「はい」「いいえ」「ありがとう」「さようなら」の手話を
一通り教えてもらった後に、ガイドのマウリシオさんが登場。

笑顔で挨拶。
彼は耳が聞こえない。
身振りと表情の説明にしたがって、遮音ヘッドホンを装着した。


まずはウォーミングアップ。

最初の部屋は、顔のギャラリー。


ぐるりと円を描いて並んだ枠の前に立ち、

上下にスライドする枠を自分の顔の高さにあわせて、ライトを点ける。

マウリシオさんを真似て、顔の体操、
きれいな人に見とれてうっとりの真似…
真ん中に次々と現れる有名人の写真の表情の真似(舌を出すアインシュタインも)

怖い犬や、きれいな花などの写真を見て、リアクションを表現してみる、など。

次の部屋では、手でつくる影絵の部屋。

見よう見まねで、パネルに手を当てる。すると…
パシャ!フラッシュが光り、手でつくった形が影に残る。
犬、鳥、ハートの形……。

基本が終わると、ゲームにうつる。

はじめはこんな具合。
まるく並んだ座席の後ろには、
「嬉しい」「悲しい」「眠い」「怒っている」「驚いた」「おののいた」などの形容詞。

マウリシオさんの表情を見て、それがどれかを当てる。
続いて、今度は自分が引いたカードを見て、
「眠い」を表現したり、「嬉しい」をやったりして当ててもらう。


次の部屋では、ジェスチャーゲーム。
外套、消火器、犬、鳥などの言葉の書いたカード一組が座席に置いてある。
指名された人が、中央にある札をひく。
「寒くて寒くてたまらない、物乞いの人」と書いてあり、それをジェスチャーで表現すると
それを見てぴんと来た人が手を挙げて、「外套」のカードを示す。


そして、神経衰弱のようなゲーム。

くるりと反転する仕組みになっているパネルが縦横16枚ほど。
体のパーツの写真が表にあり、裏側には、それを表す手話の写真。
髪、眉、目、鼻、口、耳、首、腕、胸、へそ、、、 

パネルを裏返しながら全部の説明が終わると、
手元のカードをつかって、どの手話がどのパーツかを、砂時計の時間内にできる限りあてる。

その後には、
館内にしつらえられた小さな店で、声を出さずにものを買うという実践篇や

タッチパネルを使って、自転車、車、バス、飛行機、などの交通機関に関わる語彙を学ぶという
三択式の自習用教材もあった(実際に使われているものなのだろうか?)。

けれど、上に書いてきたような「ミニ訓練」の部分が面白かった。

表現することにおいても、理解することにおいても、
非言語コミュニケーションの場合には
音が使えるときと比べて何倍も工夫して、頭も体も顔もたくさん使わないといけない。

伝えたい。わかりたい。
コミュニケーションの基本の基本を改めて意識した。