2009年2月27日金曜日

気前のいいパン屋(メキシコ書きそびれ記:2)

鏡をつかった作品をつくる造形美術作家のカヨコさんと
チャイを飲んだ、ある日の夕方。

二人とも200ペソ札しか持っておらず、まずは私が支払った。
カヨコさんは、パンでも買ってお金をくずし、自分の分を払うよと言ってくれた。

その言葉を聞いてわたしは前にも同じようなことがあったことを思い出し、
そのときのおかしな顛末を、カヨコさんに話した。

まとめて払ったもらった分を返そうと、お金をくずすためにパン屋に行って、
1ペソほどのパンを買って200ペソ札を出したら
店にはおつりがないという。

どうなるかと思えば 「いいよ、今日の分は」。
200ペソ札と、パンひとつを手に、パン屋を出た。

ははは、メキシコらしい、なんて言いながらパン屋につくと、
カヨコさんは「これと これと これ」パンをお盆に載せていく。

15ペソぐらいになっただろうか。

今日はアルバイトの女の子だけでなく、パン屋のご主人もレジにいる。
「こんばんは。」
「いらっしゃい。**ペソだよ。
 200ペソ札
「あれ、小銭ないの?」
「ないんです」
「今日はいいよ、持って行って」
…ほんとうに??

私たちは、200ペソ札と、三つのパンと共にパン屋を出た。