昨日、パセオ・デ・ラ・レフォルマにある国の文化振興機関に出かけた。
約束の時間よりもだいぶ早く着き、石のベンチに座って本を広げてみたそのとき、
気になるものが目に入った。
靴磨きスタンド。
メキシコシティには、日よけつきのスタンドを構えた靴磨きやさんがたくさんいる。
なんだかくすんでいた自分の黒い革靴に視線を落として、よしと席を立った。
値段を聞けば、10ペソ。
お願いするのは初めてなんですが、と言いながらスタンドに座って、靴をセッティング。
すそが汚れないようにまくりあげ、靴下が汚れないようにくつべらのようなものを靴に差し、
ほこり落としから始まって、泡洗浄、クリームを塗ってすりこみ、別のクリームでつやをだし、
磨いて、また何か塗って、磨いて、、、
12年前からずっと同じ場所で働いているというおじさんは、
磨き方は人によって違うけど、ぼくはきちんとした仕事が好きだからね、と
丁寧にきれいに磨いてくれた。
はい、できたよ、と言われて改めて見てみたら
私の靴は別人のように、黒くつやつやと光っていた。
ふっくらとして見えさえして、まるで上出来の黒豆のよう。