「Curitibaに着いたよ」と、エドゥアルドから知らせがあった。8月に友だちを介して知り合った(amigo de amigo es amigo)
メキシコ人の元気なグラフィックデザイナー。
12月にバルセロナで行われた未来のエコ家電デザイン国際コンペの授賞式で
初めて外国へ出たという彼は、
8月に一ヶ月弱日本に滞在し、30日にメキシコシティに戻り、
DV撲滅キャンペーンに応募するCGアニメーションを送り、
愛車(何cc?大きなバイクの写真を見せてくれた)を整備し、
翌日にブラジルへ渡った。
これから半年間、デザインの仕事依頼を受けた企業で働くらしい。
クリチバは一体どこだ?と探すと、
ブラジル南部、パラナ州の州都。
パラナ州から届いたポルトガル語混りのメッセージを読んでいたら、
ブラジルポルトガル語熱に火がついた。
以前使ったCD付きの教材を棚から引っ張り出し、
さっそく聞いてみれば この声はサンチアゴさん!折りしも、この土日には代々木公園でブラジルフェスティバル(9/8, 9/9)
国際フォーラムではブラジル映画祭(9/5- 9/9)。
Tem mais sambaNo encontro que na espera
『アフンルパル通信 ii号』に掲載していただいた小文に引用したポール・エリュアールの詩の一行:"La terre est bleue comme une orange"
(地球は青い オレンジのように)
着想の源について尋ねられたエリュアールの「オレンジが傷んでいてほんとうに青かったんだ」
というコメントをどこかで読んだけれど ほんとうかどうか。
それが真実かどうかは、あまり大した問題ではないと思う。
地球の青とオレンジのオレンジ色…に鮮烈な印象を受けるのは色相環でちょうど向かいあった色、
補色の関係にある、というところにもあるのではないだろうか。
正反対のものが結びつく新鮮な驚き。
しかも、"LA" terre(英語なら"THE Earth")は「唯一の」ものなのに
それが "UNE" orange("AN" orange)になってしまう というのも、
地球がたくさんなっている木を想像したり、
はたまた、一個のオレンジにひとつの世界がある、と想像したり。『アフンルパル通信』、「太陽の国のタマネギ」の最後:
"Aquí en México, el sol es blanco como una cebolla"
(ここメキシコでは、太陽は白い タマネギのように)
これは、文章を書きながら、
エリュアールの詩を思い出し、思いついたもの。
『通信』の発行者吉成さんとのやりとりの中で
本文にも載せることにしたのだけれど、
どういう形で全体に組み込むか考えていくうちにタマネギは白いのか、褐色なのか?
(そして、どこから?)タマネギなのは太陽なのか、自分なのか?(両方なのだとしたら、
自分をタマネギにするのは太陽の熱と光)
予期せぬものが生まれていた。
人との会話では、話し相手との相互作用で
自分からも思いがけない考えが生まれるけれど
文章を書くときにも、文字と沈黙の対話をしている。
ところで先日、 『ユリイカ2007年8月号』 澁澤龍彦特集
に掲載された中田健太郎氏の
「入れ子のなかの物語 澁澤龍彦『思考の紋章学』 とその後」
でもタマネギの形象が論じられているのを発見した。
内に広がる無限と外に広がる無限と。
パパ・タラフマラ公演
「トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡」(2007. 10.2-10.7)
の演出助手をしている友人から先日聞いた話は、
すぐには本当のこととは信じられなかった。
舞台芸術研究所の19歳のある研究生は、
舞台の主要なモチーフになっている「手紙のやりとり」が
現実味のあるものとは、とても思えないのだとか。
メッセージのやりとりと言えば、電子メールや携帯メール。
80年生まれの私はぎりぎり最後の手紙世代なのだろうか、
暑中見舞い、年賀状、封書、絵葉書、それに中学や高校の授業中に回した膨大な量の手紙の記憶は鮮やかで
大学の学部生時代までの友だちなら、
字を見ただけで誰の書いたものか言い当てる自信がある。
でも待てよ、と思った。
ここ数年の新しい友だちや知り合いの中には
どんな字を書くか知らない人もいる。
電子メールは簡単便利ですぐに届くけれど、
なんだか味気ないこと。
いつもはメールでやりとりしている相手から
手書きの手紙が送られてくると、
ちょっと特別な、あたたかい、本人に近い、そんな感覚になる。
古語の「手」には「筆跡」という意味もあることを知ったとき、
いいな、と
とても気に入ったのを思い出した。
昨晩、9月13日まで六本木のスペイン大使館で開催されている中内渚さんの『スペインへ行きたい!』原画展のオープニングパーティーに行った。
開始時刻には間に合わず、
残念ながら渚-itaのスピーチは聞けなかったけれど
スペイン大使館の地下、白い壁のおしゃれな空間に
展示されたたくさんの旅の絵に囲まれながら
フラメンコにスペインギター、
トルティーリャ(スペイン・オムレツ)、チーズ、
シャンパンに赤ワイン白ワイン…
このイラスト・ガイドブックは、
Nagisitaがスペイン各地を旅して描いたスケッチをたっぷり楽しみながら
地図、ホテルや店の情報などを見て実際の旅を計画することもできるし部屋に居ながらにして旅行している気分にもなれる。
その気になれば、簡単なスペイン料理を作ってみることもできる
絵つきのレシピまで!
繊細で的確な線と瑞々しい色使いが特徴的なNagisitaの絵。
名所といわれる場所や風景のスケッチは勿論魅力的なのだけれど、
それだけでなく、スケッチの端々に書き込まれている街の人たちの姿、
あるいは、ほかの観光客の姿を眺めていると、
自分がどこかを旅したときのざわめきや足の疲れまでが蘇ってくる。
あちこちで出会った人、偶然居合わせた人たちの一瞬を捉えて
生き生きと切り取る巧さの奥には、
人が好き、というNagisitaのチャーミングな人柄があるのだろう。
おしゃべりも大好きな彼女が、スケッチの脇に
溌剌とした字で書き込んだコメントを読んでいくのも楽しい。
あれこれ話しながら一緒に旅をしている感じ。
ちなみに、
やっぱり原画を見ると違う、と一番強く感じたのは食べ物の絵だった。
おなかがすいていたせいもあってか、
食べ物が描かれている絵の前の滞在時間は、ついつい長くなっていた。
(*赤い字の部分をクリックすると、渚さんのページへジャンプします)