久しぶりに手にとって、ぱらり、ぱらりと読んでいたら
7, 8 年前には読み飛ばしていたであろう箇所に、ぐいっとひきとめられました。
引用します。
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僕はその日、雑誌の対談でひとりの経済学者の方と食事を共にしました。
その著名な経済学者は、にこにこしながら、まずこう切り出したのです。
「佐藤さん、エコノミクス(=経済学)って、元々どういう意味なのか、
想像できますか」
【中略】
それは2年半も前の出来事でした。
そして、僕の答えを楽しそうに待っているその人とは、
その頃すでに気鋭の経済学者として注目されていた竹中平蔵さんでありました。
竹中さんは続けました。
「エコノミクスって、ギリシャ語のオイコノミックスという言葉からきているんです。
オイコノミックスとはどういう意味かと言いますと、共同体のあり方という意味なんですよ。
『共同体のあり方』、僕はその一言に打ちのめされ、少なからぬ感動も覚えた。
「自分が個人として、どうしたら幸せになれるか」という事ではなく、
「自分を含めた私たちみんなが幸せになるためには、
私たち共同体はどうあるべきなのか」
を追求する学問がエコノミクス、つまり経済学の始まりであったわけなのだ。
(佐藤雅彦『毎月新聞』第14号、1999年12月15日発行、
『毎月新聞』単行本 p. 34より引用。中略、改行は引用者)
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この引用の後には、消費税の大義を論じる箇所が出てきて
(当時は故・小渕氏の自自公連立政権下)
そこは、どんなものだろう、と、個人的には納得しきれないのですが、
1999年12月15日に佐藤雅彦さんが発表した文章を
「経済」というものの意味を、根底から問い直したくなる
2011年の夏に、東京で、読み返したときに、
ここで引用した箇所のうしろのあたりが、ずしんと響きました。