2010年12月16日木曜日

「見てくれなかったなあ~」

松涛の路上で、斜め前を歩いていた小2くらいの男の子がひとり、
大きな声で

「あ~あ、オレの逆ランドセル、
誰も見てくれなかったなあ~」

見れば、ランドセルを上下逆に背負っている。

あ、 
と、男の子の視線と私の視線が交差したので
 (なぜ振り返ったんだろう、あの子は。
 と考えてみて、今日はブーツを履いていたので
 靴音で気がついたらしいことに思い当たった)

「おもしろいこと、かんがえたね」

と声をかけてみたら、

「おもしろくなんか、ないよ。
ただ、逆にしょってるだけ。
あと、上にカサもさしたけどね。」

たしかに、うなじの辺りにきているランドセルの底部には
閉じてきちんと巻かれた傘が一文字につきささっている。
 (いま、その仕組みを考えてみると、
 べろんとしたフタ部分を留める金具部分と
 ランドセル本体の間にできる隙間を利用したのだろう)

「誰か、見てくれないかなあ」ではなくて
「誰も、見てくれなかったなあ~」というのが、巧いなあ。