休日の公園には、ギター弾きがよく似合う。
ギター青年がひとり、
公園内の歩道にあぐらをかいて座りこみ、弦をかき鳴らして歌っていた。
傍らに、頼もしい相棒みたいな自転車をとめて。
彼の周りに、聴衆はいなかった。
すこし離れたところで、若い夫婦が足をとめて聞いていた。
ギター弾き歌うたいの横を通り過ぎ、
20メートルほど歩いただろか、木陰に車椅子のおばあさんがいた。
目をつぶって気持ちよさそうに歌を聴いている。
まぶたを開けば、青年の背中が遠くに見えるだろう。
おばあさんは目をとじたまま、
木々の葉っぱ越しに届く光を受け、心地よい風を受け、ひとり、静かに歌を聴いていた。
青年はそんな風に聴いているおばあさんがいるとは知らずに歌い続けていた。
いまも、この先も、きっと知らないままだろう。