2011年9月23日金曜日

このでんしゃ、どっちが、まえ?

―このでんしゃ、どっちが、まえ?

中央線の車内で、小さなおんなのこが、おとうさんにたずねた。
おとうさんはおかあさんと話していて、質問にはこたえず
そのおんなのこは、自分で確かめてみることにしたらしい。

まず、一方の窓のほうを正面にして、仁王立ちしてみる。
からだの向きを90度を変えて、仁王立ちしてみる。
さらに90度回転して、仁王立ちしてみる。
最後に残った方向を向いて、仁王立ちしてみる。

からだで捉える「揺れ」の感覚をたよりに、そのおんなのこは
自分が乗っている、運ばれている、乗り物=電車が、
どちらを前として進んでいるか、つきとめようとしていた。

そして、つきとめたらしい。
四方向を向いて立ってみて、感触を吟味して、
そのあとは納得したような顔つきであったから。

まったく筋のとおったやりかただった。

私ならきっと、窓の外を見て、
景色の流れていく方向を見て、判断しようとするだろう。

でも、もしも
窓の外に見えるのが、静止した風景ではなく
並んで走る電車であったら?