2月5日、日本ペンクラブ「こどもの本委員会」のイベントを聞きに行った。
おなかをすかせているこどもたちに対して、
本は、物語は、何ができるのか?
というのが、ディスカッションのとっかかりとして、
落合恵子さんが(サルトルを引用して)投げかけた、大きな問いかけだった。
パネリストの方々のお話はそれぞれのお人柄が出ているように思われ、
なかでも、
(赤にグレーの色あわせがチャーミングだった)角野栄子さんのことばに
なるほど、と思った。
私の理解とメモ書きが正しければ、
戦争が終わったときに小学校5年生だった角野さんは、
飢えも経験したし、
飢えたときに大人たちがいかにあさましくなるのかも、
そして子どもたちがいかに逞しく生き抜いたかも、知っている。
ご自身がこどものときには、すでにできあがっていて読めるような物語がなく、
自分で自分自身の物語をつくっていくことによって
自分の置かれた状況と、自分の気持ちを確かめて、
それを支えにして、たいへんな状況を生き抜いた。
角野さんが書きたいのは、
読者が物語を読み終わって本を閉じてから、
読者自身の新たな物語がはじまるような
(その新たな物語に刺激を与えるような)、そんな本だという。
配られた資料のプロフィールに、
1959年から二年間ブラジルに暮らしていらっしゃったとあって
ますます、角野さんご自身について知りたくなる。