2009年1月28日水曜日

機長より

メールで送られてきた、小さな話の和訳。

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飛行機の中、フライトが始まったところで…

ひとりの「ご婦人」がしつこくコールボタンを鳴らし、乗務員を呼びつけた。

「どうなさいましたか?」と客室乗務員。

「見てわからないの?」と婦人が答える。

「きたならしいインディオの隣に座らされているのよ。
こんな胸の悪くなるような人の隣にいるなんて、我慢できないわ。
ほかの席はないの!?」

「どうぞ落ち着いてください」と乗務員。「ほぼ満席なんですが、どこか空いた席があるか、見て参ります。」

乗務員はいなくなり、数分して戻ってきた。

「お客様、思ったとおり、エコノミークラスには空席がありません。
機長と話をしたのですが、
やはりもう座れる場所はエコノミーにはないとのことです。
ですが、ファーストクラスにはひとつ、空いた席があります。」

婦人が口をはさむ間もなく、乗務員は続けた。

「エコノミークラスのお客様をファーストクラスにご案内するのは、とても稀なことです。
けれど、状況を見て、これほど胸の悪くなるような人の隣に座ることを強制するのは
大変なことだと機長が判断したのです。」


周囲の乗客たちは、みな厭な気分で一部始終を見守っていた。

そのとき乗務員が、インディオの男性に向かって言った。

「もしよろしければ、どうぞお手荷物をお持ちになってください。
ファーストクラスのお席がご用意してあります。」

乗客たちは、その光景を前に驚き、立ち上がり、拍手をした…


          (作者不詳、原語:スペイン語)
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