木々に囲まれた、小さな空間。カラフルなベンチに身を任せると、空を仰ぎ、目を閉じ、木漏れ日を浴びる。
四隅に置かれたスピーカーからは、心地よい音楽が聞こえてくる。初めて行った二週間前は、50年代、60年代のjazz、昨日の日曜は、ギターと歌のミニコンサート。
木々も音楽を聴いているのか、
空に向かう幹、そこから伸びた枝葉は、音楽空間をまるく包んでいる。
たとえ横断歩道であっても、気をつけなさい。
自分の身は自分で守るべし。
さもなくば…
紫という字はハカランダに似ている。いま、メキシコシティは紫の花盛り。歩いていても、バスに乗っていても、そこに紫!あそこに紫!あちらにも紫!花ごと散るので、樹の根元、木陰のできる部分は紫の丸いテーブルクロスを敷いたようになっている。
このハカランダ、マツモトという日本人がメキシコに持ってきたのだと聞いた。
複数店舗を持つ高級花屋の名として今でもここに生きている、
マツモトさん。どんな経路を辿って、どんな経緯で、
ハカランダの種を携えてこの町に来たのだろう?
無料の屋外jazz liveの開場を待つ行列は、建物に沿って角を曲がり、階段を降り、もうひとつ階段を降り、また角を曲がり、ようやく最後尾に着いた。頭上に容赦なく太陽が照りつけるなか、ジェームズ・ボンドのテーマが流れ始めた。チェコ共和国のジャズバンド、その名も Band... James Band.サックス、トランペット、ベースにドラム、ピアノ、黒い帽子に黒眼鏡の五人組。ブギウギの頃から、プログラムを日よけにしている客席に手拍子が生まれ、8ビートのイントロの「枯葉」で流れをつかみ、フリューゲルホルンの柔らかな「ミスティ」を気持ちよく聞いていたら…
サックス奏者が客席から若い女性をエスコートして、ゆったりゆったり踊り始めた!湧き起こる歓声。
その女性が席に戻ると、今度は黒いスカートの中年女性が立ち上がり、サックス奏者の手をとった。ワンコーラスが終わるか終わらないかのうちに、別のおばさんがすっくと立ち上がり、盛り上がる客席。また次のコーラスには、今度はワタシとばかりに別のおばさんが。フィニッシュにクルクルとターン。楽しみ上手な客席にもすっかり楽しませてもらった。