2008年11月29日土曜日

絵本作家とこどもたち

先日、Fondo de Cultura Econónimaの書店で
絵本作家Oliver Jeffers を迎えたイベントがあった。
http://www.oliverjeffers.com/

語り手のおねえさんが絵本を声に出して読み、
それと同時にオリバーさんが、模造紙に各ページの絵を描いていくという趣向。

おねえさんがこどもたちに火をつける。

おねえさん 「それからおとこのこは、みじたくをはじめました。まずはメ、メ、メ…」
こどもたち(口々に)「メガネ!!!!」
おねえさん 「つぎに ボ ボ ボ…」
こどもたち 「ボウシ!!!!!」

一冊目は、飛行機で月に行った男の子がエンストの難に遭い、宇宙人と協力して家に帰る話
二冊目は、本をむしゃむしゃ食べてしまう男の子の話。(邦訳あり)

二冊目が始まる直前、ちいさなお兄さんが、もっと小さな弟を連れてきた。
絵本を抱きしめた小さな弟は、タイトルが読まれると同時くらいに、
「本をたべる おとこのこの はなし!!!!!!」

その子は、大好きな絵が目の前でうまれていく瞬間にときどき身震いしたり
うずうず、そわそわ、居てもたってもいられずに
絵本のページを開いてみて、まわりの人たちに見せてあげたり。

朗読が終わると、模造紙の絵を賞品に、クイズ大会が始まった。
「おとこのこが家に戻ると、部屋にいたお客さんはだれでしょう?」
ハーイ ハーイ ハーイ  「ペンギン!!!!!!」
こどもたちは、ページの隅々まで知っている。

大興奮のこどもたち、きっと夜はぐっすり眠ったことだろう。

2008年11月28日金曜日

黒豆級のつや

昨日、パセオ・デ・ラ・レフォルマにある国の文化振興機関に出かけた。
約束の時間よりもだいぶ早く着き、石のベンチに座って本を広げてみたそのとき、
気になるものが目に入った。

靴磨きスタンド。
メキシコシティには、日よけつきのスタンドを構えた靴磨きやさんがたくさんいる。

なんだかくすんでいた自分の黒い革靴に視線を落として、よしと席を立った。
値段を聞けば、10ペソ。
お願いするのは初めてなんですが、と言いながらスタンドに座って、靴をセッティング。

すそが汚れないようにまくりあげ、靴下が汚れないようにくつべらのようなものを靴に差し、
ほこり落としから始まって、泡洗浄、クリームを塗ってすりこみ、別のクリームでつやをだし、
磨いて、また何か塗って、磨いて、、、

12年前からずっと同じ場所で働いているというおじさんは、
磨き方は人によって違うけど、ぼくはきちんとした仕事が好きだからね、と
丁寧にきれいに磨いてくれた。

はい、できたよ、と言われて改めて見てみたら
私の靴は別人のように、黒くつやつやと光っていた。
ふっくらとして見えさえして、まるで上出来の黒豆のよう。

2008年11月26日水曜日

時のトンネル

探していた本は、国立図書館の保存書庫にあった。

カウンターで書庫への行き方を聞くと、
あの黄色の手すりのところを通っていけばいいと教えてくれた。

手すりを目指していくと、その先にはトンネル。
抜ければ右に噴水の音、左にソル・フアナ像。

部屋に入り、頼んだ本を待っている間、
あたりを見回せば
ここ彼処にかかっている宗教画の寓意が気になる。


硬く四角い革張りの椅子に座り、
三十分ごとに振り子時計のボーン、ボーンと鳴るのを聞きながら、
木製の大きな書見台を使って目当ての本を読んだ。

2008年11月23日日曜日

勤労感謝

メキシコでも、別の町のひとたちが「メキシコシティの人は冷たい」と言うのを聞くけれど
ほんの一言から、会話の橋がぱっとできあがることがある。

土曜の夕方6時過ぎ、バスを待っていたら、小型バンのタイプのが来た。
ヘッドライトを点滅させて、乗る?とのサイン。
人差し指を立てて右腕を上げると、すっと止まって、助手席のドアが開いた。

gracias 、と言って乗ると、
これからどこに行くの?と運転手さんに話しかけられた。
家に帰るところ。

ちょこちょこと会話をしているうちに、ふと気になって聞いてみた。

今日は、何時まで働くんですか?
夜の10時までだよ。
朝は?
朝は、5時から。
食事は?
朝の5時。

市民の足、庶民の足の運転手さん、こんな長時間労働をしていたとは。

家族は寂しがらないか、と聞いたら、
結婚もしていないし、恋人もいないんだよ。

そういえば、
同じ小型のバスで、助手席に恋人を乗せておしゃべりしているのは何度も見たことがあるし、
大きな車両のときには、休日に前方座席に運転手家族ゾーンができていることもある。

2008年11月21日金曜日

市場でごはん

月曜、水曜と、市場 mercado で昼ごはんを食べた。

近所のmercadoなのに、食堂に入ったのは初めてだった。
ざわざわした雰囲気がとてもいい。雑然とはしているけれど、明るくて清潔な感じ。
定食、35ペソ。安い。

月曜日は…

アグア・デ・リモン(レモネード。 limonadaと agua de limónの違いは何だろう… )
牛肉のコンソメスープ、
メキシコ風ライス、
メインには、がんもどきに似た鶏肉の料理、トマトソース。がんもどきもどき。
トルティージャがやわらかくて美味しかった。


水曜日は、別の入り口から入って、別のおばさんたちの経営するテーブルへ。
こんどは紙に書いたメニューがあった。
同じく、35ペソ。

アグア・デ・ハマイカ(ほんものではなく、粉を溶いたのだったのが残念)
レンズ豆のスープ、ちょっぴり辛い
温サラダ (ズッキーニと、チャヨーテという野菜を豪快に炒めたもの)、
肉入り牛肉スープ (巨大な牛スネ肉に、とうもろこし、にんじん、ズッキーニ、インゲン…美味しい)
デザートに、パウンドケーキ。

食べている途中、目の前に、市場のおばさんのたくましい手がずんと伸びてきた。
持ち帰りを頼んだお客さんのためのレモンとたまねぎを、
テーブルの上から、むんずと掴んでいったのだった。

賑やかで生命力豊かな雰囲気も、食事の一部。

2008年11月14日金曜日

空の歯医者さん

思いがけない歯のトラブルが起き、メキシコで初めて歯医者に行った。
幸恵さんのともだちのロクサナさんという、颯爽としてかっこいい女医さんのところ。

待合室の床は、メキシコではめずらし板張りで何だか落ち着く。

治療用の椅子に横たわると(懐かしいカーブ)
縦型ブラインドの透かしてある大きな窓からは、広く空が見える。

ロクサナさんが何か背後で準備していたときに、
飛行機がすーっと飛び立っていく姿が、かなり大きく見えた。
渡り鳥の群れの一羽目が飛び立つところを捉えた映像みたいに。近いんだ。

飛行機が、きれいに見えますね!と言ったら

そうなの、この空の眺めは私もとても気に入ってるの。

素晴らしい夕焼けが見えることもあってね、
そういうときは治療の手を止めて、患者さんに、空を見てって言うの。
あれを見逃したらもったいない。

それから、近くの大きな病院にヘリポートがあるんだけど
ヘリコプターが着くと、特に小さな子たちを診察しているときには
窓のそばに行って見てごらん、って言うのよ。

そう言いながら、ロクサナさんは手際よく治してくれた。

日本でお世話になっている歯科医の愛称は「ひげの歯医者さん」だった。
彼女は、空の歯医者さん、だろうか。

2008年11月12日水曜日

夜半の月

大手書店Gandhiの、比較的スペースの小さな支店にて。

世界文学 Literatura Universal コーナーの棚を見ていたら、
メアリー・シェリー Mary Shelly の『フランシュタイン Frankenstein』の横に
紫式部 Murasakishikibu の『源氏物語 Historia de Genji』 が並んでいた。

思いがけないめぐり逢い。

秋を探して

東京から、柚子豊作の便りが届いた。季節感が懐かしい。

メキシコシティも日によっては朝晩の冷え込みが厳しく、
厚手の上着にショールを巻いて出かけるときもあるけれど
今日の昼間は半袖でもいいほどの日差しだった。

秋らしいものはないか、と探しながら歩いてみたら、
踏めばクシャと音を立てるカラカラの落ち葉があるくらいで
通りがかりの公園には紫陽花の名残がまだ咲いていた。

2008年11月5日水曜日

butoh en México/ 舞踏 in メキシコシティ

9月末にメキシコにいらしていたコントラバス奏者の斎藤徹さんから、
工藤丈輝(KudoTaketeru) さんの舞踏公演のお知らせをいただきました。

メキシコシティでは、
明日11月5日の夜8時-、
Teatro de la Danza, Centro Cultural del Bosque,
Paseo de la Reforma y Campo Marte, Chapultepec-Polanco (Metro Auditorio)にて
$120(メキシコペソ)、学生・教員半額

*Tiempo libre 誌のweb 上にも情報あり*
http://www.tiempolibre.com.mx/home_danza.php?id_evento=23001


また、11月14日(19時-)、15日(16時-)には、
チャプルテペック公園内のCasa del Lago にて公演があります。
$100、学生教員半額

*Casa del Lago のページより*
http://www.casadellago.unam.mx/site/index.php?option=com_content&task=blogsection&id=17&Itemid=89

2008年11月3日月曜日

一緒に過ごす一日


死者の日のお墓参りに同伴した。

休日で出番のないスクールバスが、園内を無料循環バスとして走っている。
なんていいアイディア。

透明な空気に、太陽が強い。
家族連れ、犬連れで、色とりどりの花を抱えてそれぞれの目指すお墓へ向かう。
パラソルとお昼ご飯を持って、故人と一緒にピクニックをしている家族もいる。

11月1日は、幼くして命を落としたこどもたちの帰ってくる日、
11月2日は、大人になってから亡くなった人たちの帰ってくる日だと聞いた。

写真の中心に写っている星型の風船には、
「おじいちゃん、大好き」

2008年11月2日日曜日

骸骨

大学構内の芝生ゾーンに、
11月2日の、死者の日のための飾りつけが行われている。

金曜の夜、キャンパス内は人であふれていた。
左の写真の骸骨は、今年没後10年になる、あの…






オクタビオ・パス。
死後10年経っても、
メキシコ国内のあちこちを訪問しなくてはならず、
相変わらずの活躍ぶり。